糖尿病の治療薬「GLP-1受容体作動薬」は肥満症にも効果があることをご存知ですか?
GLP-1ダイエットは危険? 注意点とは?
編集部: GLP-1受容体作動薬は、体重減少のために使用して良いのですか? 志田さん: 基本的には、効果が見込めない場合は使用しない方が良いでしょう。肥満の人の多くは食べ過ぎが原因で肥満になっているため、食欲を減少させることで体重が十分に減少して、肥満が解消されることが期待できる可能性はあります。他方、糖尿病の治療に使う場合でも、肥満症ではなく食べ過ぎの傾向が見られない人は食欲を減少させる効果の少ない薬を使うか、別の薬を使います。それは効果によるメリットよりも副作用によるデメリットが上回ってしまうからです。 編集部: 保険適用で手に入れられるのでしょうか? 志田さん: GLP-1受容体作動薬に限らず、処方せん医薬品が保険適用で手に入るのはその医薬品の適応症と診断された場合だけです。医薬品の適応症は医薬品の添付文書の「効能・効果(適応)」の項目に記載されています。例えば、GLP-1受容体作動薬の1つであるリベルサスという薬の適応症は「2型糖尿病」です。そのため「2型糖尿病」の治療以外の目的でリベルサスを使用する場合は適応外使用になります。他方、ウゴービというGLP-1受容体作動薬は、肥満症に適応があり、条件を満たしていれば処方が可能となります。 編集部: GLP-1受容体作動薬をダイエット目的で使用する人もいますが、危険と聞いたことがあります。その理由を教えてください。 志田さん: GLP-1受容体作動薬の使用によって体重が減少するのではなく、薬の副作用である低血糖や胃腸障害、膵炎などが起きてしまい、重篤な場合は入院も必要になることがあるからです。GLP-1受容体作動薬だけでなく薬には身体との相性があります。相性が合わないと、体重を減少させたいと思ってGLP-1受容体作動薬を使用しても期待通りに効果が出ません。しかし、薬との相性が合っていないとは気づかずに、もっと効果を高めたいと思い、薬の量を必要以上に増やしたり、極端な糖質制限などの偏った食事をしたり、過度な運動をしたりしてしまいます。その結果、効果よりも副作用が強く出てしまうことになります。