【凱旋門賞】武豊が初制覇への思いを語る 騎乗馬アルリファーのライバルも分析「化け物はいないね」
[GⅠ凱旋門賞=2024年10月6日(日曜)3歳上、パリロンシャン競馬場・芝2400メートル] 武豊(55=栗東・フリー)の凱旋門賞初騎乗は、1994年のホワイトマズル。そこから30年がたち、今年で11度目の騎乗を果たす。コンビを組むのは、盟友・松島正昭オーナーが共同所有しているアルリファー(牡4・Jオブライエン)だ。 ――凱旋門賞を具体的に意識したのはいつ頃 武豊 子供の頃から知っているレースだったし、すごいレースだという認識はあった。最初、わりと早く乗れて、それで1番人気くらいだったんだけどダメで、向こうのメディアにめっちゃ叩かれて、余計にいつか勝ちたいと強く思った。 ――子供の頃からすごいと思っていたレースに実際に騎乗した時は 武豊 優駿を見たり、競馬学校で映像を見ていた。蛯名(正義)とかとよく見ていた。だから、最初乗った時は不思議な感じもしたね。ヨーロッパに行っている人も当時はあんまりいなかった。 ――過去10度挑戦している 武豊 もちろんいいレースも苦しいレースもあった。フランスに腰を据えて乗っていたこともあったし、ロンシャンは散々乗ってきている。戸惑いとかは今さらない。 ――ディープインパクトもその中の一頭 武豊 ディープ、そうねえ。自信あったけどね。ダメだった。当時はまだ海外遠征のノウハウも今ほどなかった。日本でのパフォーマンスをそのまま発揮するのは難しい時代だった気がする。今は日本のホースマンもいろんな経験を積んで馬も強くなっているし、遠征のコツもつかんできている。今回はアイルランドの馬だけどね(笑い)。 ――今年はアルリファーとコンビです。ジョセフ調教師との関わりは 武豊 エイダン(オブライエン師)がよくドナカ(現調教師)と一緒に競馬場に連れてきていた。だから、彼がジョッキーになる前、小さい頃から知ってる。 ――前走のベルリン大賞はどう見ていたか 武豊 映像で見ていたけど、強かったね。乗るのが決まっていたから、パドックからずっと注目していて、返し馬はどんな感じかな?とか、どういう性格かな?とか思いながら見ていた。乗りやすそうな馬だね。レースも上手にしていた。距離も初めてだったから、その辺がどうかなと思っていたけど、問題なかったし、抜ける脚も速かった。ただ、メンバー的にもここは勝ってほしいと思って見ていた。期待通りに圧勝してくれた。 ――24日の調教に騎乗して 武豊 すごくおとなしくて乗りやすい。追い切りではなく軽いところだったけど、フットワークがいいし、柔らかくてさすがにいい馬。レースを見た印象通り。今日乗って、レース前にどんな感じだろう?と考えたり、いらない心配が消えたのはよかった。 ――相手関係をどうみているか 武豊 仏ダービー馬(ルックドゥヴェガ)が前哨戦で負けて、評価が上がってきたね。アルリファーも有力馬の一角。ライアンがどの馬に乗るのか…。ただ、今年はエネイブルやトレヴとかそういう馬はいない。化け物はいないね。 ――初挑戦から今年で30年がたちます 武豊 そんなに(笑い)。最初はわからないこともたくさんあった。競馬場への道のりも、どうやって行くんだろう?とか。でも、今は俺について来いみたいな感じ(笑い)。自分で運転して行ける。そこは全然違う。 ――以前から「凱旋門賞制覇」を掲げてきた 武豊 目標を聞かれた時に言ったり、結構公言していた。明確な目標だったと思う。公言したことで、凱旋門賞というレースを知った人も多いんじゃないかな。クールモア陣営も理解してくれている。周りからの反響も大きくて、発表してから、よかったですね、おめでとうございますとか言われる。いろんな声を聞いて、それを楽しみにしてくれている、応援してくれている人も多いんだなあと思う。 ――公言してきたからこそ、多くの人が応援している 武豊 ディープインパクト、メイショウサムソン、ヴィクトワールピサ、キズナ、クリンチャー…。俺が勝ちたいのを知ってて遠征してくれた人もいると思う。 ――松島オーナーもその一人 武豊 松島さんの心意気を感じる。それにも応えたい。難しいのはわかっているけど、夢が一致しているからね。おっさん同士で(笑い)。わくわくする。
三嶋 まりえ