米ブラックストーン、25年の投資案件売却件数は2倍超へ
Milana Vinn Echo Wang Carolina Mandl [ニューヨーク 10日 ロイター] - 米プライベートエクイティ(PE)大手ブラックストーンの北米PE担当責任者マーティン・ブランド氏は、企業の合併・買収(M&A)の環境改善と新規株式公開(IPO)の活性化を背景に、2025年には投資案件の売却・撤退件数が前年の2倍超になるとの見通しを示した。米ニューヨークで開催された「ロイターネクスト」会議で語った。 ブランド氏は「IPO市場は開かれている。資本コストは下がってきた。PEの投資額が大幅に増加した21年のビンテージは25年に4年が経過するため、これらの案件のうちうまくいった一部案件は撤退の準備が整うことになる」と説明した。 金利低下や数十億ドルの調達資金を投入する必要性、活況を呈している人工知能(AI)部門に関連した案件の急増などを背景に、ブラックストーンは25年にレバレッジド・バイアウト(LBO)の取引件数を回復させるための準備を進めている。 過去2年間は金利上昇を受けてLBOの資金調達コストが上昇し、大型案件の獲得が難しくなっていただけに、金利低下はPE企業にとって好材料となる。ブラックストーンなどのPE世界大手は資金調達の見通しが改善したことを受けて大規模なLBOに着手している。 ブランド氏は「大口取引は今後も続くだろうし、規模がさらに拡大するかもしれない。資金調達市場は確かに存在する」と訴えた。 ブラックストーンは今年11月、全米でサンドウィッチチェーンを運営するジャージー・マイクス・サブズを80億ドル相当で買収することで合意した。 ブラックストーンはオーストラリアのデータセンター運営企業エアトランクを160億ドル規模で買収することでも今年合意した。 9月にはPE投資会社ビスタ・エクイティ・パートナーズととともに、業務管理ソフトウエアを手がける米スマートシートを総額84億ドルで非公開化することでも合意している。 プレキンのデータによると、米国のPEとベンチャーキャピタルの24年に入ってからこれまでの取引総額は4230億ドルに達している。23年は通年で4400億ドルだった。 <25年に向けて意欲的姿勢> 大手バイアウト企業は、好調な米経済が当面のM&A活動の大きな原動力になると予想している。 ブランド氏は、トランプ米次期政権下で関税や規制緩和が経済にどのような影響を与えるのかを評価するのは時期尚早だと言及した。 その上で「私たちは(米国)経済の先行きにおおむね安心感を持っている」とし、米国経済は「勢いを増しているようだ」との見方を示した。 オルタナティブ投資分野の運用会社としては世界最大手級のブラックストーンは、今年9月末時点の運用資産残高が約1兆1000億ドルとなっている。