北九州「成人式のド派手衣装」生みの親の“苦悩と逆転”。九州の恥から一転、NY個展へ
意外だった海外での評価は…
そういった彼らの素性を知っている池田さんは、容赦ない批判や偏見に心を痛めてきた。けれど、彼女ひとりが否定したところで批判や偏見がおさまるわけではない。モヤモヤとした気持ちが続いていた2018年、日本から遠く離れたニューヨークより連絡が入る。 「それは、ド派手成人式の衣装を見たというニューヨカーのスティーブンという男性からでした。スティーブンは茶道や着物といった日本文化に興味を持っていて、ニューヨークで紹介する計画を立てていたのです。そして、私(みやび)からも2~3着借りたいと言います」 でも、スティーブンがどの衣装を送ってほしいのかわからない。そこで役立ったのが、『みやびBOOK』だった。そして、指名を受けたド派手成人式の男性用衣装を複数点ニューヨークへ送った池田さんは、イベント終了後にスティーブンから絶賛されている。 「スティーブンからは、『たくさんの人が、みやびの衣装の前で立ち止まった』『すごく人気だった』と嬉しい言葉をいただきました。海外では、アートとして評価されたのです。この展示をキッカケに、約4年後の2022年にはニューヨークで個展を開くことになりました」
海外に住む人から「着物革命」と大絶賛
コロナ禍の影響もあり、大絶賛だった2018年の展示から約4年後の2022年開催となったニューヨークの個展。池田さんがデザインし、縫製なども手掛けた約20着のド派手衣装が、海外の人々や海外に住む日本人から「着物革命」など嬉しい声とともに称賛されている。 「その個展の打ち上げパーティーには驚くような著名な方々が出席していて、翌月にはオファーがあり、2023年9月にニューヨークでファッションウィークを開催することになったのです。日本では成人式の準備も控えていましたから、スケジュールはキツキツでした」 ファッションウィークのオファーを受けた池田さんは、タイトなスケジュールを乗り越え、約1週間にわたって開催されたショーを成功させている。そして、大喝采――。客席にいたギャラリーの目が釘付けになっていたことは、ショーを終えてから聞かされた。