北九州「成人式のド派手衣装」生みの親の“苦悩と逆転”。九州の恥から一転、NY個展へ
「けしからん!」「九州の恥」誹謗中傷の嵐
このとき池田さんが取材してほしかったのは、思い思いの衣装で成人式に挑む彼らの晴れ舞台。ところが、このメディア出演は思わぬカタチで実現することになる。発行が続いていた『みやびBOOK』の中身を誰かが写真に取り、匿名掲示板にアップしたのだ。 「これが、2013年頃。一部の人たちがバカウケしてくれ、少しだけネットで話題になりました。そのあと、マツコ・デラックスさんと村上信五さんがMCを務める『月曜から夜ふかし』にも出演。それと同時に、苦情や誹謗中傷が一気に大きくなりました」 そして、「そんな恰好で成人式など、けしからん!」「九州の恥」といった厳しい声や「死んだらいいのに」といった誹謗中傷の嵐。「非難されるようなことは何もしていない」と自分を励ましつつも、しんどい時期を送っていた。
ド派手成人式は“輩”の集まり?実態は…
ド派手成人式の認知度が上がっていけばいくほど、しんどい思いをするようになっていたとき、ついに陳述書が市に提出された。そして北九州市は2016年より、成人式に「きちんとした服装でご参加ください」といった異例の呼びかけを開始。 「もちろん市の立場としては、意見があれば対応しなければいけないのもわかるのですが、つらい気持ちになりました。そしてこの頃は、これまで自分がやってきたことを振り返り、『私がやってることって間違っているの?』と、何度も自問自答しています」 なぜ、ド派手成人式は陳述書が市に提出されるまでに批判されるのか。それは、身に纏っている衣装がド派手だという以外に、刺繍入りの卒ランや特攻服など、ヤンキーファッションを彷彿とさせることが大きいかもしれない。では、彼らは世間でいう“輩”なのだろうか。 「工場勤務や建築業界、JRや消防士として働くなど、普通に働いている子たちがほとんどです。成人式のために上司から髪の毛を伸ばす許可をもらったり、『仕事を辞めたら袴代が払えなくなるから』とキツイ仕事も辞めずに頑張ったり。みんな、いい子たちです」