カワサキ「Z2」いよいよエンジン組み立て開始!! しかしその前にやるべき各部のコンディション確認 ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.25
気になるクラックは充填補修接着剤で補修
Z2E型エンジンを分解したときに気が付いた「クランクジャーナル部分のクラック」に関しては、いろいろ検討した結果、溶接補修ではなく金属充填接着剤にて修復することにしました。
溶接できない場所ではありませんが、溶接熱の影響によって、クランクケースが歪んでしまう可能性もあるからです。クランクケースに歪みが発生してしまうと、クランクシャフトの回り方が渋くなってしまう可能性もありますし、そうなっては大問題なので、金属充填接着剤を利用しました。 ベアリングの軸受け強度が落ちている訳ではありませんので、クラック部分のみ修正できれば気分的に安心です。これまで何事も無く走ってくれていたので、この充填補修も気分的なものになるかも知れません。
充填補修後、数週間後にクランクシャフト本体との組み合わせ、擦り合わせを行ないました(説明書によれば24時間以上経過していれば完全硬化)。補修部分の充填硬度は高く、盛った部分をヤスリで削り落すのにも苦労しました。 擦り合わせ作業の完了後は、ジャーナルアウター部の回り止めピンを差し込み、クランクシャフトをセットして、センターキャップを締め付け、スムーズにクランクシャフトが回ることも確認しました。さらにクランクケースロアをセットして、規定トルクでボルトを締め付け、スムーズにクランクシャフトが回っている様子を見て、正直、ホッとしました。
唯一、気になっていたクランクシャフト周辺の懸案項目がクリアになりましたので、ミッション周辺のコンディションもチェックしました。走行距離の少なさは、このミッションコンディションにも現れています。
ギヤのドッグ磨耗は皆無で、シフトフォークに関しても、サイド面に擦り跡ひとつ残っていませんでした。砲金ブッシュにも磨耗は無く、極めて程度極上なミッションであることも理解できました。ベアリングに関しても、不安要素がありませんでしたので、敢えて未交換にて復元することにしました。 いよいよ組み立て復元作業に入りますが、その前のお約束として実践しなくてはいけないのが、各部品の「徹底洗浄」になります。 ガンコートペイントを終えたクランクケースを始め、すべてのパーツに関して、徹底的な洗浄を実施しなくてはいけません。特に、ボルト穴やオイル通路内は、可能な限り手を尽くして洗浄します。 組み立て中にボルトを締め付けたら「ジャリッ!?」といった感触があると寂しいですからね……。過去に、そんな経験あるからこそ、すべてのボルト穴は寸法が合致したタップを通し、オイル通路内は綿棒などを併用しつつ、洗浄&徹底的なエアブローを実践しました。 後々、「やっておけば良かったなぁ~」なんてことにならないためにも……。そんな洗浄作業を行いつつ、いつも思ってしまうのが、4気筒エンジンのクランクケースでも余裕で入る「超音波洗浄機が欲しい!!」といったことです。いつかはガレージに備えたいものですね。
たぐちかつみ