ドーハ世陸男子100mでサニブラウンはスタートで出遅れなければ決勝進出できていた?!
桐生も2020年東京五輪に向けて手応えをつかんでいる。では、具体的に準決勝の“通過ライン”はどれぐらいなのか。リオ五輪以降の世界大会における準決勝の結果を見てみよう。(※組数の後のカッコ内数字は+が追い風、-が向かい風。単位はメートル) ■リオ五輪(2016年) 【1組(+0.5)】(1)9.95 (2)9.97 (3)9.98 【2組(+0.2)】(1)9.86 (2)9.92 (3)10.01 【3組(±0.0)】(1)9.94 (2)10.01 ■ロンドン世界陸上(2017年) 【1組(-0.5)】(1)10.05 (2)10.09 【2組(-0.2)】(1)10.04 (2)10.05 (3)10.10 【3組(+0.4)】(1)9.97 (2)9.98 (3)10.09 ■ドーハ世界陸上(2019年) 【1組(-0.3)】(1)9.88 (2)10.12 【2組(-0.1)】(1)10.07 (2)10.09 (3)10.09 【3組(+0.8)】(1)10.01 (2)10.05 (3)10.11 準決勝の通過ラインは、リオ五輪が10秒01(追い風0.2メートル)だった。それがロンドン世界陸上は10秒10(向かい風0.2メートル)で、今大会は10秒11(追い風0.8メートル)。条件が異なるため単純比較はできないが、3年前と比べて、準決勝の通過ラインは下降傾向にある。向かい風の条件でも10秒0台を出すことができれば、確実といえる状況だ。 今年6月の日本選手権決勝ではサニブラウンが向かい風0.3mのなかで10秒02をマークしている(桐生は10秒16で小池が10秒19)。世界大会のファイナリストになれる実力はすでに備わっていると言えるだろう。あとは準決勝を確実に走り切ることができるかだ。 ただし、メダルとなると簡単ではない。今大会の男子100m決勝は23歳のクリスチャン・コールマン(米国)が9秒76(追い風0.6メートル)の自己ベストで優勝。2位は37歳のジャスティン・ガトリン(米国)で9秒89、3位は24歳のアンドレ・ドグラス(カナダ)で自己ベストの9秒90だった。年齢を考えるとコールマンとドグラスはまだまだ記録を短縮する可能性を秘めている。日本勢はあと1年でどこまで迫ることができるのか。 人類最速を決める男子100m決勝はスポーツのなかでも特別な輝きを放つ。あの場所に日本人選手が立ったらどうなるのかを考えたら物凄くワクワクした気持ちになった。そんな想像を東京五輪で現実のものにしてくれるスプリンターが現れるのを期待せずにはいられない。 (文責・酒井政人/スポーツライター)