行定勲監督が韓国ドラマ『完璧な家族』に参戦! 演出して気付いた韓国ドラマのヒットの法則とは?
第一話の冒頭のネタバレには、理由がある!
―最終的なジャッジはKBSがして、それを受け入れるというやり方でしたか? 「そうですね。全話の編集を終えて、納品して日本に帰ってきてから、KBSさんが何箇所か内容を作り変えました。もちろん基本ラインは僕が演出したものですし、追加撮影もしていません。一番わかりやすいのは、第1話の冒頭です。主人公ソニの友人であるギョンホ(キム・ヨンデ)がいきなり死ぬシーンは、僕の意向ではありません」 ―え!? 監督に断りもなく? 「KBSさんからあらかじめ『キム・ヨンデのシーンから始めたい』と言われていたら、僕はあんな風には撮らないかな。僕の編集は、最初に血まみれで歩くソニが家に帰ってくるところ以降です。だから、最初の5分を切ったものが、音楽の入り方などは違いますが、僕のオリジナルバージョンに近いです。冒頭のそのシーンはネットで「謎のネタバレ」と言われていましたが、僕に対して評論的な視点で意見を言う友達も、第1話を見終わった後に「あの始まり方は効果的じゃないよね」と言ってきて。それが2話を見終えて『え? ギョンホを殺したのは誰だ? という話だったんじゃないの? 12 話あるのにどうなるの?』となり。そこから徐々に想像と全然違う家族の話になっていくので、彼は『逆にあの冒頭はあれでもよかった』と言っていました。僕が『冒頭5分はやっぱりない方がいいと思ってる』と言ったら、『第1話の冒頭なんてどうせみんな忘れるよ』と言われました。確かに僕も、ちょうど『涙の女王』を8話ぐらいまで見ていたんですけど、1話をすっかり忘れていました。周りで見ている人に聞いても、みんなすぐに答えられない。なんてこともあるよね(笑)」 ―日本より話数が多い作品もありますし、展開が早いから最初の方を忘れてしまいがちですよね(笑)。 「でもなんとなく身体的に『面白かったね』という印象が残る。それが韓国ドラマのパワーだと思います」