ウクライナ支援国の一部、交渉による戦争終結の可能性を検討開始
(ブルームバーグ): 一部のウクライナ支援国は、ロシアの侵攻に対する戦闘をどのように終わらせるか協議を始めつつある。これに対し、その他の西側数カ国はこうした取り組みがウクライナに早まった停戦を強いかねないと懸念している。
非公開の協議内容だとして匿名を要請した関係者によると、来年の戦略を議論する一環として、交渉での戦争終結や出口がどのような形になり得るか、これまで以上に真剣にシミュレーションを重ねている。
いかなる交渉の決定もウクライナ政府が下すべきで、交渉に向かうようゼレンスキー大統領に圧力をかけている者はいないと、関係者は明言した。この関係者によると、ゼレンスキー氏は公にも私的にも、ロシアへの領土割譲は公平ではないとの姿勢を貫いている。ロシアが戦争目標を縮小した兆しはなく、交渉の現実的な見込みは依然薄いという。
だが、再び冬に向かう中で、戦況に打開の兆しもほぼ見られない。一部の支援国当局者が外交による打開策を探り始めたのは、このためだ。
ロシア・クルスク州に対するウクライナの予想外の越境攻撃は、戦争がロシア有利の膠着(こうちゃく)状態に陥ったとの認識を覆したが、ウクライナが領内の全てからロシア軍を速やかに駆逐できる見通しもほとんどない。一部の支援国は、ウクライナのクルスク州攻撃の長期的な戦略目的が依然不明だとの見方だ。
ロシア軍も地上で苦戦しているが、ミサイルでウクライナのエネルギーインフラの多くを破壊し、ウクライナが冬を乗り切れるのか不安も生じている。
ゼレンスキー氏は北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)への加盟、経済と安全保障の協定締結、より先進的な兵器の供給継続を「勝利への計画」の一環として求める見通しだと、関係者の2人は説明。同氏は今月下旬の国連総会にあわせてバイデン米大統領と会談する際にこの計画を提示する意向で、大統領選の候補であるハリス副大統領、トランプ前大統領とも計画を共有したい考えだという。