ウクライナ支援国の一部、交渉による戦争終結の可能性を検討開始
交渉を通じた戦争終結を目指す場合、大きな難問を解かなければならない。ロシアによる将来のウクライナ再侵攻を確実に防ぐ一方で、西側がロシアとの直接対決に引きずり込まれないようにすることだ。後者の懸念が重くのしかかり、一部の支援国は提供した長距離兵器の使用許可やウクライナが求めるNATO加盟にこれまで慎重な姿勢を続けている。
2014年にプーチン大統領がクリミア半島を一方的に併合した後で結ばれたミンスク合意も、苦い記憶として残る。ウクライナとその支援国は、この合意こそロシアと交渉することの危険性を示唆していると主張する。停戦によって時間的な余裕が生じれば、プーチン氏は軍を再編成し最終的に再び攻撃を仕掛けてくるだろうとゼレンスキー氏は警告する。
欧州の防衛当局者は、自分の国の政府はこの懸念を共有していると説明。合意がいかなるものであろうとプーチン氏は新たな戦争を準備し、西側の不安定につけ込んでくるだろうとみているという。
さらに、ウクライナ全体を支配下に置くというプーチン氏の目標が変わっていない以上、ゼレンスキー氏にとって領土割譲を含む合意を受け入れることは政治的に困難だろうと当局者は指摘した。少なくともプーチン氏には、米大統領選で誰が勝ち、その実際の政策を確認するまで様子見することが理にかなうだろうと、当局者は続けた。
一部の支援国は、11月の大統領選と来年1月の新大統領就任までの期間に、バイデン政権の政治的な自由度が拡大し、何らかの取引を行えるかもしれないとの見方を示す。米国の政権交代と欧州の極右勢力台頭で、ウクライナへの軍事・経済支援の継続は不透明性になる恐れもある。
トランプ氏は大統領選に勝利すれば合意を模索すると示唆しているが、詳細は明らかにしていない。同氏の副大統領候補であるバンス上院議員は最近、トランプ氏の案はロシアが現在の占領地を維持し、現在の戦闘ラインに沿って非武装地帯を設置することなどだと説明した。