フェラーリ「275P」がたった182万円!? 12台のみ手作りされたヴェスパのエンジンを搭載したジュニアカーでした
「未来の“ティフォーゾ(Tifoso:フェラーリの熱心なファン)”が乗る最初のレーシングカーとして理想的!」
RMサザビーズ北米本社が製作した公式ウェブカタログでは、そんな謳い文句とともに、3万~4万ドルという、いささか強気にも映るエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。 ところが当日の競売では思いのほかビッド(入札)が伸びることなく、終わってみれば1万2000ドル、日本円に換算すれば約182万円という、売り手側にとってはかなり厳しい落札価格で、競売人のハンマーが鳴らされることになった。 公式ウェブカタログでは「この楽しい小さなフェレーロはコンディションが良いうえに、1990年代のものとしてはディテールも正確に仕上げられている」という甘口の記述がなされてはいるものの、今世紀に入ったのちプロポーションやディテールともに長足の進歩を遂げた感のある「チルドレンズ・カー」ないしは「ジュニアカー」と比べてしまうと、ちょっとおもちゃっぽさが否めない気もする。 あくまで私見ながら、これはこれで可愛らしくも感じられるものの、やはり当代流行りのリアルなジュニアカーに慣れてしまった現代のコレクターにとっては、もの足りなく映ったのかもしれない。
武田公実