「同じモデル」「同じ程度」の古いフェラーリなのに価値が段違い! フェラーリのお墨付き「クラシケ」ってなに?
「クラシケ」の存在がクラシックカーの高騰に大きく影響した
世界のオークションシーンを調べてみても、同じモデルでもクラシケの認定があるモデルは、そうでないモデルと比較してより高い価格で落札されていくケースが多い。一時ほどの勢いはなくなったものの、最近のクラシック・フェラーリの価格高騰に、このフェラーリ・クラシケの存在が関係しているのは間違いのないところである。 この2006年に誕生したフェラーリ・クラシケの成功を見て、現在では他社でもクラシック部門の活動もさらに積極的なものになった。2012年にはあのアストンマーティンが、「Q by AstonMartin」との強いコラボレーションを背景に、「アストンマーティン・ワークス」を設立。 2015年にはランボルギーニも、クラシック部門の「ポロ・ストリコ」を新たに開設し、いずれも現在では多くのカスタマーから高い支持を得るに至っている。ジャガーの「ジャガー・クラシック」、あるいはメーカーの社内組織ではないが、メルセデス・チューナーの「ブラバス」が展開するクラシック部門も、最近では世界から大きな注目を集める存在だ。 フェラーリ・クラシケの活動としてもうひとつ触れておかなければならないのは、「コルソ・ピロータ・クラシケ」と呼ばれるプログラムだ。これはクラシック・フェラーリの走りをより本格的に楽しむためのドライビングアカデミーで、フェラーリ本社に隣接するフィオラーノのサーキットで、フェラーリの熟練ドライバーによる指導を受けながらドライビングセッションをこなし、テクニックを磨くことができるというもの。 自分自身のフェラーリで参加できないカスタマーのためには、1970年代の308GTBと1990年代の550マラネロが用意されている。仮に自分のフェラーリで参加した場合には、そのメンテナンスやレストアを担当した職人たちとのコミュニケーションの時間も設けられ、フェラーリ車の構造や製造の裏側についてもさらなる知識を深めることができるという。 クラシック・フェラーリを所有するカスタマーには、まずはクラシケの認定を得ることに挑戦していただきたい。それは有益なことばかりなのだから。
山崎元裕