【米ドル円】東京海上アセットマネジメントが振り返る…11月第2週の「米国経済」の動き
大きく注目されていた米大統領選でトランプ氏の再選が確実視され、「米ドル円」に対する世の中の関心はかつてないほどに高まっています。そこで、来週の米ドル円相場の動向に影響を与えそうな、先週の米国経済の動きについて、東京海上アセットマネジメントが解説します。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
FOMCでは大方の予想通り、0.25%の利下げを決定
米労働省が公表した2024年10月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査)は前月差+1.2万人と、市場予想(同+10.0万人)を大幅に下回ったほか、8月、9月の2か月分が計▲11.2万人下方修正されました(図表1)。 雇用増勢が大幅に鈍化した要因として、米南部を襲ったハリケーン「へリーン」や「ミルトン」などが影響したとみられます。公表元は、これらの影響を量的に示すことは困難としながらも、同調査の回答率が通常より大幅に低下したとして、ハリケーンが雇用者数に影響したことを指摘しています。 実際に、雇用者数を算出する事業所調査の回答率は47.4%と、1991年以来の低水準となり、企業が公表元に対して迅速に回答できなかった可能性があります。 また、非農業部門雇用者数を業種別にみると、輸送機器製造が前月差▲4.4万人と減少幅が拡大しており、ボーイング社のストライキも影響したとみられます。もっとも、雇用者数が過去2ヵ月分大幅に下方修正された点を踏まえれば、基調的な雇用の鈍化はハリケーンやストライキ以外の影響によるものと考えられます。 一方、10月の失業率(家計調査)は4.1%(9月︓4.1%)と市場予想通りの結果となりました(図表2)。 ここ数ヵ月の失業率は、9月のFOMCで示された⻑期均衡水準である4.2%近傍で安定しつつあります。失業率は6月の4.1%から7月に4.3%へ急上昇し、サーム・ルール(※)に抵触したことで米景気後退への懸念が急浮上したものの、8月に4.2%、9月に4.1%と低下した後、10月は横ばいとなっています。 ※ 失業率の過去12ヵ月平均の最低値に対して直近3ヵ月平均が0.5%を上回った時に景気後退が始まるとされる これにより、サーム・ルールに基づく数値は8月の0.57%から9月に0.50%へ低下し、失業率からみた景気後退懸念はいったん和らいだ格好となりました。その後、10月は0.43%へ一段と低下しており、サーム・ルールに基づく数値は6月以降、景気後退について誤ったサインを出した可能性があります。
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