首相も長官も警察庁長も…災害対策本部核心構成員の多くが「代行」=韓国
全羅南道(チョンラナムド)の務安(ムアン)国際空港で発生した旅客機事故により災害行政の空白が浮かび上がっている。大統領と首相が相次いで弾劾され、行政安全部長官まで空席の状態で災害時の司令塔が代行体制により運営に問題が生じないかとの指摘が出ている。 崔相穆(チェ・サンモク)大統領代行は29日午前の事故直後、政府に迅速な事故収拾を指示し、政府は中央災害安全対策本部を事故発生から1時間ほどで稼動した。崔代行は「今回の事故の収拾と再発防止に向け最善を尽くしたい」と強調した。 だが大型事故に対応する中央災害安全対策本部構成をめぐり「重要ポストに相次ぎ穴があいた」と指摘される。大統領訓令である「中央災害安全対策本部構成と運営などに関する規定」によると、大規模災害が発生した場合、首相が本部長を務め、行政安全部長官が次長を務めることになる。事故や災害などの性格により関連官庁長官が追加で務めるのが現在の政府の対応体系だ。 実際に2年2カ月前に159人の命を奪った梨泰院(イテウォン)の群衆事故当時に構成された中央災害安全対策本部は韓悳洙(ハン・ドクス)首相が本部長を務め、行政安全部の李祥敏(イ・サンミン)長官(当時)が第1次長を務めた。保健福祉部の曺圭鴻(チョ・ギュホン)長官が第2次長だった。しかし今回の事故では崔代行が本部長で、国土交通部の朴庠禹(パク・サンウ)長官と行政安全部のコ・ギドン長官代行をそれぞれ第1・第2次長にする中央災害安全対策本部を構成した。非常戒厳事態で李祥敏前長官が退き行政安全部長官が空席のためだ。 事故直後に中央災害安全対策本部会議を主宰者も梨泰院事故当時は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領だったが今回は崔代行だった。事故収拾に重要な役割をする警察もやはり梨泰院事故では当時の尹熙根(ユン・ヒグン)警察庁長体制だったが今回は李鎬永(イ・ホヨン)警察庁長代行体制だ。趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長が内乱重要任務従事容疑で拘束された状態だからだ。結局尹大統領と韓首相が相次いで弾劾され災害対応経験のない経済副首相である崔代行が大統領・首相の穴を埋めるなど災害コントロールタワーの核心構成員5人のうち4人が代行体制で運営されている。 ここに事故収拾と復旧支援に向かう国防部もやはり金竜顕(キム・ヨンヒョン)前長官が4日に「非常戒厳事態のすべての責任を負う」として辞任してから金善鎬(キム・ソンホ)長官代行体制で維持されている。また事故が起きた務安空港を管理する韓国空港公社もやはり文在寅(ムン・ジェイン)政権当時に任命された尹亨重(ユン・ヒョンジュン)前社長が辞任してから8カ月にわたり空席の状態だ。 首相室高位関係者は「すべての政府組織が崔代行を補佐しており、ただちに災害対応体制に出たため実務的に大きな問題はない」と話した。だが与党高位関係者は「相次ぐ弾劾で災害時の司令塔まで崩壊した状況。これまで行政空白を懸念する声は少なくなかったが、実際に大型事故が発生しその余波がどこまで及ぶか計りにくくなった」と話した。 非常状況で災害対応への懸念が大きくなると、12月3日の非常戒厳事態以降スケジュールを公開していない大統領室も公開対応に出た。大統領室はこの日午前、鄭鎮碩(チョン・ジンソク)秘書室長主宰で緊急首席秘書官会議を開催し、国政状況室を中心に秘書室と国家安保室が24時間非常対応態勢を維持することにした。大統領室は「事故関連官庁間協力と業務調整案を話し合った。会議結果を崔代行に別途報告した」と明らかにした。