お坊さんだってスタバに行きたい/塩沼亮潤大阿闍梨「くらしの塩かげん」
1300年間にわずか2人しか成し遂げた人がいない荒行「大峯千日回峰行(おおみねせんにちかいほうぎょう)」の満行者、塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)大阿闍梨(だいあじゃり)。最難関の命がけの荒行を経験し、修験道を極めた塩沼さんがいま切に感じるのは「日々の“あたりまえ”のことこそ難しい」ということ。 塩沼さんの最新刊『くらしの塩かげん』から、私たちの“あたりまえ”の暮らしにそっと光を灯す小さなヒントをお届けします。
お坊さんだって、スタバに行きたい。
文/塩沼亮潤 講演会前の空き時間や出張先では、ついスターバックスに向かってしまいます。 自分で飲むためというより、香りを楽しんだり、テイクアウトにして会場のスタッフさんに温かいコーヒーを差し入れるととても喜んでいただけるのが、私の楽しみとなっています。 スタバはどの地方にもありますが、いつもと同じ雰囲気、味、店内を満たすコーヒーの香りに、安心感を覚えます。もはや講演前の私のリラックスルーティーンです。 私のスマホにはスタバアプリが入っています。訪れた各店舗のスタンプがもらえるので、御朱印帳のように楽しんでいます。ある店舗では、私好みのカスタマイズを開発してくれて「R仕様」と名づけてくれました。そんな店員さんとの交流も、店に通う魅力のひとつだと思っています。
塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)
1968(昭和43)年、宮城県⽣まれ。1987年奈良県吉野の金峯山寺で出家得度。1999年「⼤峯千⽇回峰⾏(おおみねせんにちかいほうぎょう)」の満⾏をはじめ、2000年には9⽇間の断⾷・断⽔・不眠・不臥の中、御真⾔を20万遍唱える「四無⾏(しむぎょう)」を、2006年には、100日間の五穀断ち・塩断ちの前⾏の後、8000枚の護摩を焚く「⼋千枚⼤護摩供(はっせんまいだいごまく)」を満⾏。同年故郷の仙台市秋保に福聚山 慈眼寺(ふくじゅさん じげんじ)を建立。「⼼の信仰」を国内外に伝えている。簡単なようで難しい日々の「あたりまえ」の大切さを綴った最新刊『くらしの塩かげん』(世界文化社刊)大好評発売中。