後悔しない選択、より良い未来を選ぶための「メンタル・タイムトラベル」実践法
意思決定がどのように変わるか?
McGonigal博士によれば、ほとんどの人は、今から1年後の自分より、10年後の自分を思い浮かべる方が難しく感じるようです。 それは、10年後のシナリオを考えているうちに、脳が「10年後の自分の人生は大きく変わっているかもしれない」という事実を直感的に理解するため。 ですから、一つの可能性を自信たっぷりに予測するのではなく、複数の可能性を考えるための空白のスペースができるのです。 このようにMcGonigal博士は書いています。 ここからが本番です。10年後に目覚めた自分を思い浮かべながら、最後のエクササイズを繰り返しましょう。 今度は、自分の将来像を1つにまとめようと悩まないでください。その代わり、10年後の自分の人生について、想像力を働かせながら、現実的な複数の可能性を具体的に思い浮かべましょう。 すべての空白を埋めるには時間と労力が必要ですが、McGonigal博士によれば、だからこそメンタル・タイムトラベルは強力なのです。 いったん脳が潜在的な未来を創り出せば、それが新たな記憶となり、それを再訪したり、参照したりすることができるようになります。 脳がこのような想像のシナリオに戻るとき、それが引き起こす感情的な反応に注意を払ってください。 このような予感は意思決定の助けになります。 この未来の可能性を変えるには、今やっていることを変えるべきでしょうか。 自分でこの記憶を発明したのですから、いつでも好きなときに変えられます。 このようにMcGonigal博士は書いています。 『Imaginable』が世に出てから数年が経ちましたので、意思決定ツールとしてメンタル・タイムトラベルを使うことについて、何か新しい見識があるか、McGonigal博士に尋ねてみました。 すると、薬物使用障害への介入として、未来へのメンタル・タイムトラベルを用いるという研究が増えていることから、もっと多くの人にも適用できるはずである、という答えでした。 一例として、2023年の研究で、薬物依存症患者が、依存性薬物が欲しくてたまらなくなった瞬間に未来へのメンタル・タイムトラベルのテクニックを実践すると、依存性薬物への短期的な誘惑に抵抗し断薬するという、より良い決断を下すのに役立つことがわかっています。 McGonigal博士は、このように語ります。 この発見は、今は辛くても長い目で見れば良いことをするように、自分のモチベーションを高めたいと思っているすべての人に該当します。 依存症に効果があるのなら、今だけでなく、もっとも重要な長期的目標に向けてより良い選択をするうえで、誰にでも効果があります。 Source: PubMed, BMC, ScienceDirect, Amazon, Ideas.Ted.com, Springer Link
春野ユリ