年間1168回!航空自衛隊の緊急発進が急増したきっかけとは?→幹部が明かす2012年の「あるできごと」
● 多い年には年間1168回、 航空自衛隊は緊急発進(スクランブル)している F:なるほど。分かりやすい。北朝鮮が来ないとなると、現在、日本の領空を脅かしているのは中国とロシア、ということになりますね。スクランブルは年間に何回くらいかかるものなのですか? 中:のちほど概況説明を別の者からさせていただきますが、最も多い年で年間1168回です。10年ほど前までは対ロシアが多かったのですが、2012年から2013年にかけて中国が増えました。このグラフをご覧ください。 F:1168回!そんなに……。1日に3回以上のペースじゃないですか。確かに2012年から中国機の数が激増していますね。この時期、何があったのでしょう? 中:2013年に中国が防空識別区を設定し、活動を活発化させたことが要因といえるでしょう。
● 尖閣問題以降、 中国の飛行機が多数飛来するようになった 中:中国機が実際に日本の領空を歴史上初めて侵犯したのも2012年です。先ごろ(編注:2024年8月26日)「初めて領空侵犯した」と騒ぎになったのは、中国「軍」としての話です。実は国家海洋局の飛行機が、2012年に日本の領空を侵犯しています。翌13年には中国が新たに防空識別区を設定してきました。この図の黄色いラインですね。「この線の中に入ってくるものに対して、中国国防部の定める規則に従わなくてはならない」旨を国際社会に宣言したんです。尖閣諸島が入っているでしょう。当初は「この区域に入る際は全て中国に通報しなさい」、ということを言っていました。 F:いちいち通報するのですか? 中:我が国はこうした措置が、国際法上の一般原則である公海上における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであり、国際航空秩序に対して重要な影響を及ぼすものであることから、この措置が我が国に対して何ら効力を有するものではないことを発表しています。 F:今さらの質問ですが、「尖閣は中国の領土」と中国は明言しているのですか? 中:一般報道のとおり、明言していると認識しています。 F:なんと!