「油っぽい」「意外と美味しい」と賛否両論…。セブンの「ドーナツ再挑戦」に見るコンビニ業界の大転換
こうなってくると、その数が飽和しているコンビニの中で、各社は「店舗数増加」以外で売上高を高める方策が求められてくる。もっといえば、「便利な店」が魅力になっていた時代から「+α」の魅力を作る必要がある。 この点に関して、流通アナリストの中井彰人は、今後のコンビニの方向として、①商圏を細分化して出店余地を生み出す、②新たな需要を取り込む必要があると指摘する。特に②については、私が今書いたことと連動している。
関連記事:「飽和するコンビニ」に成長余地が残っているワケ 店舗数は微減となっているが、狙える次のニーズ セブンのドーナツも、やはり②の部分を強化しているだろう。セブンは最近、ドーナツ以外にも、スムージーの販売や宅配ピザの導入など、かなり積極的な商品開発を行っている。元々セブンは「金の」シリーズなどで、食品開発のノウハウが長けていることで有名だが、その長所を伸ばして新たな需要取り込みを行うのだ。 ■「選択と集中」を求められるコンビニ業界
いま、「長所を伸ばして」と書いた。 このように、コンビニが「便利な店」を脱するためには各社の「強み」にフォーカスを当て、「選択と集中」を進める必要がある。セブンはその一つを「食品」に求めている。 では、その他のコンビニはどうだろうか。この意味でもここ最近、コンビニ関連で面白いニュースを聞くことが多くなった。 例えば、ファミリーマート。報道によれば、全国の店舗に設置しているイートインスペースを商品売り場へと順次変更するという。2024年には約2000店舗で店内の改装が行われるらしい。ファミマでは近年「コンビニエンスウェア」などの衣料品の人気が高まっている。それらも含めた生活必需品中心に、商品売り場を増やすというのだ。
コンビニの魅力として、あらゆる商品も売っている便利さに加え、「人が集まる」という「空間価値」がある。イートインスペースはまさにその一つだが、ファミマの方針は「商品も空間も」という「なんでもあり」状態を、「商品」にフォーカスを当てて「選択と集中」したといえるだろう。これもこれで戦略の一つとして面白い。 ファミリーマートと逆に、「空間価値」を高めようとしているのがローソンだ。 各種報道によれば、ローソンの200店舗では現在UFOキャッチャーを設置しており、今年3月には首都圏にも設置を拡大した。2025年度中には、現在の5倍である1000店舗での導入を目指すという。