7つの激戦州だけじゃない! トランプvsハリス「歴史的な接戦」で重要な意味を持つことになる州とは?【前嶋和弘の2024アメリカ大統領選、深層ウォッチ】
11月5日の投票日まで残り2週間を切ったアメリカ大統領選挙。連日さまざまな話題が報じられているが、大統領選の行方を左右するといわれる7つの激戦州を巡り、史上まれに見る接戦が続いている。 トランプ支持者とその復活を阻もうとする人たち――。アメリカ社会の深刻な分断を背景にした大統領選の異様な姿と、実際に起こり得るシナリオについて、上智大学教授の前嶋和弘(まえしま・かずひろ)氏に聞いた。 * * * ■異様な2024年アメリカ大統領選挙 現代アメリカ政治の研究者として長年、大統領選を見続けてきた私から見ても、今回の大統領選挙の異様さは際立っています。 選挙戦の終盤を迎えたトランプの発言は過激さを増しています。最近では「中国やロシアよりも危険なのは『内なる敵』(Enemy From Within)だ」などと主張し、10月13日に行なわれたFOXニュースのインタビューで、この発言について問われたトランプは「アメリカには非常に悪い人々、病んだ人々がいる。それは急進左翼の異常者たちだ。そうした連中は必要に応じて州兵や軍(連邦軍)を使ってでも抑え込むべきだ」と、事実上の内戦を煽るようなことまで言い出しました。 一方で、前回の大統領選後に起きたトランプ支持派によるアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件に関しては、「(2021年)1月6日の出来事は『愛に基づく行動』であり、真の愛国者たちが平和的に連邦議会議事堂に入ったのだ。事実、アシュリー・バビット(議事堂に乱入し、警官に射殺されたトランプ支持者の女性)が殺された以外は、誰も殺されていないではないか」と、暴力的に議会に乱入した人たちを擁護。今やアシュリーはトランプ教徒の殉教者のように崇められています。 要するにトランプにとって、自分を支持する人たちが起こす暴力は「愛の行為」として正当化され、逆に自分に敵対するリベラル派や「ウォーク(Woke)」と呼ばれる意識高い系の人たちが抵抗すれば、彼らはアメリカの「内なる敵」なので、軍を使って殺しても構わない......というメチャクチャな理屈なわけです。