仕掛けた当初、“業界関係者”はこの成功を100%信じていなかった!? 業界の疑念が180度覆った! 西野亮廣はなぜ「1年後のチケットをどんどん売る」ことができるのか?
「やってみなくちゃ分からないこと」をやらない理由は一つも無い
さて。 今日ここで皆様にお話したいことは先日の『BackStory』で演出の吉原光夫さんが言っておられた「『1年前からチケットを売る』ということに対して演劇業界は疑いを持っていた」ということについてです。 光夫さんは「(演劇業界には)信じることができなかった時代があった」と表現されていたのですが、仕掛けている自分が言うのもアレですが、「1年前からチケットを売ることのインパクト」を信じることができなかった業界の皆様の気持ちは分からなくもないんです。 やっぱり「1年前から売る」となると、その分、人も稼働させなきゃいけないし、人を稼働させるということはシンプルに「お金」がかかります。 「それに見合うだけのリターンはあるのか?」と考えるのって普通のことだと思うんです。 でも一つ確かなことは、「良い結果は出ないかもしれないけれど、まだ誰もそれを検証していない」ということ。 『えんとつ町のプペル』的に言うと「星があることは知らないけど、無いことも知らない」といったところです。 やらなくても分かることはあるけれど、今回に関しては「やってみなくちゃ分からないこと」で、僕としては、「やってみなくちゃ分からないこと」をやらない理由は一つも無いと思っているので、1年前からチケット販売を始めてみました。
信じることができなかった歴史をここで終わらせて欲しい
先日の動画の見所は【第二弾チケット】の結果発表があった後の「販売データの検証」です。 僕らはいつもあんな感じで、数字を見て、すぐに次の打ち手についてチームで議論しているのですが、これは演劇とか関係なしに、『戦うチームの姿勢』として、是非、皆さんのチームのメンバーにあのシーンを共有していただきたいなぁと思います。 自分で考えて動くスタッフ(自家発電で仮説検証をおこなうスタッフ)を育てるには、ああいったことを、経営者や役員だけで共有するのではなくて、現場で働くスタッフにも「ここで、こういう数字が出ているけれど、今はまだ別パターンを探る時間帯だから、Aパターンは一旦置いておいて、Bパターンにアタックしましょう」という感じで、データと理念と戦略をチームの皆に常に共有するのが大事だと思われます。 そして、僕の願いは、この動画が、演劇業界・ミュージカル業界だけじゃなくて、バレエ業界や、その他の舞台芸術業界で汗を流されている皆さんの何かのヒントになることです。 やっぱり、「これから自分達が作る作品を、多くのお客さんが待ち望んでいる」という確認がとれた中でおこなうクリエイティブというのは気持ちが乗るし、逆に「チケットが売れていない」という中でおこなうクリエイティブの現場はやっぱり殺伐とするので(視聴率が悪い連ドラの撮影現場とか地獄)、「早くからチケットが売れている」というのはクリエイティブの根幹に関わってくる重要な問題なんです。 だからこそ、「集客の方法」みたいなものは、業界の垣根を越えて、皆で学び合えたら最高で、本音を言うと、今度こそ普通に話を聞いていただけると嬉しくて、信じることができなかった歴史をここで終わらせて欲しいなと思っています。 もし皆さんのまわりに舞台関係者がいらっしゃったら、この『BackStory』をシェアしてください。 西野亮廣/Akihiro Nishino 1980年生まれ。芸人・絵本作家。モノクロのペン1本で描いた絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』。完全分業制によるオールカラーの絵本に『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』。小説に『グッド・コマーシャル』。ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』。
TEXT=西野亮廣