本の要約サービスなぜ人気?タイパ時代に求める「効率的な出会い」
書店も図書館もウェルカム
本を販売する現場では、要約サービスと連携する動きも出ています。埼玉県川口市の書店「須原屋川口前川店」は、店内に「フライヤー棚」を設置。ベストセラーなど約14点の本を並べ、掲示されたQRコードをスマホで読み込むと、要約を読むことができます。 同店の井内一也さんは「読書離れの一因として、『本を読んでみたいけど、何を選べばいいのかわからない』というケースが挙げられます」と指摘。「『本のプロ』がすすめる本なら信頼できるし、要約を読めば『自分に合うかどうか』を事前に確認することもでき、手に取りやすくなると思います。『書店員に声をかけづらい』という方にもぴったりでは」と話します。 図書館がflierを導入するケースも。東京都世田谷区の区立経堂図書館では、専用Wi-Fiに接続すると、スマホなどからflierを利用できるサービスを実施しています。館内に設置されたパソコンでも閲覧可能。人気のある本が順番待ちでも、まず要約を読んで内容を把握できる、というわけです。 天野陽子館長は、「要約によって『今読むべき本』を知ることは、良書との出会いにつながります。図書館において、新たな読書のきっかけを提供できるサービスだと考えています」と期待を寄せていました。 日本で出版される書籍は年間約7万点で、1日に換算すると約200点に上ります。この中から、自分に合った本を見つけるのは至難の業。秋の夜長、久しぶりに読書を楽しんでみたい――。そう思ったら、要約を入り口に本を探してみてはいかがでしょうか。
未翻訳の本も日本語の要約で
「flier」のほかにも、以下のようなサービスが展開中です。 【SERENDIP(セレンディップ)】週4~5冊の要約を配信。国内だけでなく、海外で話題になっている未翻訳の本も、日本語ダイジェスト(抜粋)で紹介。 【TOPPOINT(トップポイント)】毎月発行される新刊100冊前後から厳選した10冊の要約を紹介。月刊誌形式で提供しており、定期購読者はウェブ上でも要約を閲覧できる。 【bookvinegar(ブックビネガー)】新聞や雑誌、テレビ、著名人のブログなどに取り上げられた話題のビジネス書の要約を紹介。毎週約4冊のペースで追加され、全て無料で読むことができる。 (読売新聞メディア局 後藤裕子)