“今買うべきアート”が丸わかり!2025年の5大アートトレンドを専門家が伝授
バイオフィリックアート
バイオフィリックアートとはその空間のなかにいる人が自然とのつながりを感じられるようなアートのこと。 アートバーゼルのメッセプラッツにある屋外イベントスペースには小麦が植えられた可動式のパレットが約1020平方メートルにわたって設置され、高層ビルが建ち並ぶ展示会場とは対照的な空間がつくられました。この小麦の穂が風にそよぐなかを参加者たちが行き交いました。 これはアグネス・デーンズのバイフォリックアートで、タイトルは「Honouring Wheatfield(麦畑を称える)」。 1982年にデーンズがニューヨークのウォール街から2ブロック離れた場所に植えた畑、つまりガラスや鉄、コンクリートでつくられたマンハッタンとは対照的な空間を想起させます。 キーウィエト・デ・ヨンジュはこう語ります「媒体や時代に関係なく多くのアーティストが自然をインスピレーションの源に挙げています。 都会に住む私のクライアントはいつもこの感覚を求めています。自然にちなんだファブリックのテクスチャーやパターン、天然木のような素材、有機的な形、そしてもちろん植物そのものなど、自然を思い起こさせるものを取り入れるのが私は好きです」
テキスタイルの躍進
アートバーゼルではこれまで、テキスタイルはアートやデザインというよりも工芸品というイメージでしたが、今年はそのテキスタイルがバイヤーたちに見直されていました。縮充する、結ぶ、織る、染めるといった技法は物語を紡ぎ、経験を共有することで想像力豊かな触覚の可能性を称えているのです。 例えば北アメリカ大陸の中西部にある大平原、グレートプレーンズの出身で、幼少期をいくつもの国立公園を旅して過ごしたアーティスト、テレサ・ベイカーは人工芝に毛糸、バックスキン、人工の腱、柳を組み合わせた「ナイフ・リバー」という作品を展示しました。 ユニークかつ意外な質感を用い、ベイカーは土地を文化の場として伝えています。 テキスタイルは家に柔らかさ、質感、面白みを与えてくれるとキーウィエト・デ・ヨンジュは語ります。 「私たちは最初の直感でテキスタイルを部屋にある他のテクスチャーやテキスタイルに合わせようとしがちですが、それに抵抗してください。コントラストが目を楽しませ、アートとインテリアの両方を引き立たせるのです。全般的にいえることですが、ちょっとしたことが大きな効果をもたらします」