“今買うべきアート”が丸わかり!2025年の5大アートトレンドを専門家が伝授
VRとAIアートの導入
好むと好まざるとにかかわらず、AIはアートの世界で大きな盛り上がりを見せています。 トルコのメディアアーティストであるラフィク・アナドルは旅行がもたらす変容の力を信じています。そこで彼はターキッシュ・エアラインズの協力を得て「Inner Portrait」展を開催、初めて旅行を経験した4人の脳信号を追跡して、その力を証明しようとしました。アナドルは以前にもニューヨーク近代美術館(MoMA)でAIを使った大型インスタレーション作品「Unsupervised」を展示した経験をもち、画期的なメディア作品で知られています。「人物の肖像画を作品に使ったことはこれまで一度もありません」とコメントしています。 伝統的な2次元や3次元のアートの形を超えた「Inner Portrait」は観客をメインホールの没入型キューブのなかに誘う作品です。6つの鏡張りの壁に囲まれていて、それぞれの壁がAIによって生成された旅にちなんだ感情の解釈で振動しています。それを体験することで観客は初めて旅する人たちが経験するのと同じスリルを味わえるのです。 この作品からは電子音が鳴り響いています。さらに4人の旅行者の生物学的、神経生物学的データがデジタルで表現され、鮮やかな色彩と螺旋状のテクスチャーがうなるような機械音を出し続けています。「この音楽は旅行者の脳内のシーケンスからつくられたものなので、技術的に考えると私たちは彼らの心のなかにいることになるのです」とアナドルは説明します。彼はデジタル絵画には想像力を広げる力があると信じています。「非常に特別なつながりの感覚が生み出される、共感的な瞬間です」 ハンナ・リーはデジタルアートのような新しい技術でつくられたものを顧客の家に飾る場合、出入りする空間を理想的な展示スペースとして考えるといいます。「寝室やキッチン、オフィスのような部屋はすでに刺激に満ちています。でも廊下や玄関は通常、人と会話したり交流したりする場所だと考えられていません。ですからビデオやAI、バーチャルリアリティが人の注意を引き、対話のための静かな時間を与えてくれるのです」