フェアーグラウンド・アトラクションが語る日本での再出発、名作の誕生秘話、解散の真相
解散の真相、35年後の「ビューティフル・ハプニング」
―これほどの素晴らしいアルバムを作り、大成功を収めたのに、バンドは長続きせず、2作目のアルバム制作半ばで解散してしまいました。その解散の本当の理由について、これまではっきりと語ったことがなかったように思いますが。 エディ:ええ。私たち自身もはっきりとわかっていなかったからなの。私たちのエネルギーがぶつかり合った。私とマークは家庭環境がよく似ていて、2人ともカトリックの大家族で育った。大人数の家族では自分の居場所を争って勝ち取らなくちゃならない。そして私たちはどちらも音楽における家族を探していた。だから、私たちはお互いにそういったことをバンドにも持ち込んだ。そして……たぶん……ねえ、ロールズ・ロイスの例えをしてたわよね? 運転してたら……。 マーク:ああ、車はニッサンでも何でもいいんだけど、車を運転してそこらを走っているつもりだったのが、気づいたら、レース・トラックを走っていた。そんなところを走る準備なんかまったくしていなかったのに、いきなりF1に出場したようなものだった。突然ヒットチャートの首位にいたんだから。うわあ!?という感じさ。あまりに速いスピードで、すごくクレイジーだった。 エディ:ええ、本当にあっという間の出来事だった。3月にアルバムを録音したんだっけ? マーク:1月に録音して3月に発売されたんだ。 エディ:数カ月の間に……。 マーク:すべてが加速していった、すごく速く……。 エディ:そんな状況にみんなが影響を受けた。あなたはちょっとPTSD(心的外傷後ストレス症候群)のようになったし、私は妊娠した。アルバムの最後の曲「ハレルヤ」の最後の音を録音した直後に、妊娠検査テストのキットをみたら、妊娠していた。そしてあらゆることが変化していった。やがて私たちはどちらも離婚を経験することになったし。このバンドがすごく大きなものになってしまったのに、自分たちはどれほど大きくなったのかをよくわかっていなかったの。あのときにはね。 ―エディはソロ・アルバムでもマークの曲を歌ってましたよね。2人ともロイとサイモンとは一緒に演奏していた時期があったと思います。付き合いは続いていたんでしょ? エディ: いいえ。私たちの仲は全然うまくいかなくなったの。それで解散した。その理由は、私たちはとても似たもの同士だからだと思う。 ―兄弟喧嘩みたいなものだった? マーク:まさにそんなものだった。うん、大体のところでは、そうだったね」 エディ:(オアシスの)ノエルとリアムのギャラガー兄弟みたいだったのよ(笑)。暴力はそんなになかったけど(笑)。ハハハ。 マーク:そんな感じだった。とても張りつめていたよ。今振り返ると、すごく笑えるけどね。彼女はまるで実の姉か妹だったみたい。 エディ:今マークが書いている曲の多くには、少なくとも私にはそう聞こえるんだけど、そこに無意識にも私たちへのメッセージがあると思う。(ニュー・アルバムに収録される)「ヘイ・リトル・ブラザー」はもちろん、「ビューティフル・ハプニング」もそうね、あれは他の人に書いた曲だけれど……。 マーク:アンドレア・ボチェッリのために書いたんだ。 エディ:だけど、彼は取り上げなかったのね(笑)。 マーク:(苦笑)。 ※後編は9月20日リリースの最新アルバム『ビューティフル・ハプニング』に合わせて公開予定 --- フェアーグラウンド・アトラクション 『ビューティフル・ハプニング』 2024年9月20日発売 12曲入り+ボーナストラック収録予定 ピクチャー・ディスク仕様(予定)/歌詞・対訳掲載 フェアーグラウンド・アトラクション 『Beautiful Happening』(LP) 『The First of a Million Kisses』(LP) 発売中
Tadd Igarashi