「開成に合格!」中学受験する我が子の成績を発信、特定されるケースも 親の「承認欲求」に弁護士が警鐘
「2月1日AM 熱望校(桜マーク)。持ち偏差値よりプラス5」「2月1日PM お守り校(枯れた花マーク)でした。持ち偏差値よりマイナス10」――。この数年、Xでは我が子の成績や試験結果、日ごろの学習態度などを詳細に記録する親のアカウントが増加している。 【画像】「お父さんがお姉さんを犯して、私が生まれた」過酷な生い立ち 冒頭の投稿の意味は、「(首都圏の中学受験がスタートした初日)2月1日の午前受験で、平均偏差値より5高い第一志望の学校に合格しました」「1日の午後、平均偏差値より10も下の滑り止め校は不合格でした」である。オンラインの合格発表が広がり、合格・不合格のスクショをアップする投稿も珍しくはない。 今年2月、中学受験したばかりの保護者は「生々しい情報に勝るものはないし、自分と同じように他の家庭も悩んでいることを知ることができるので、Xの中受沼にはまっていましたね」と話す。 しかし中には、中には「開成、合格しました」と学校名を出したり、学校名こそ出さないものの前後の投稿から容易に推測できるものもあった。子どもの成績に関するSNSや情報発信に、プライバシー侵害など法的な問題はないのだろうか。実際にXを利用している複数の保護者、教育問題に詳しい弁護士に話を聞いた。
●個人情報全開のアカウントはなぜか父親に多い
「2024S(2024年2月に受験するSAPIX生)」「2026N(2026年2月に受験する日能研生)など、アカウントに子どもの受験年や塾の頭文字をつけた中学受験生の保護者アカウントがXには多数ある。X以外にもブログ、YouTubeで発信する親たちもいる。 公開される情報は、何も合格発表だけではない。高校受験や大学受験に比べて、親の関与が多いとされる中学受験だけに、子どもの偏差値、日々のテスト結果などの詳細な記録が並ぶ。思うように勉強しない我が子に「中受撤退」など厳しい言葉を向けたことも赤裸々に吐露する。 「受験期は受験塾や学校説明会だけでなく、Xでの情報収集も活用していた。匿名ならではの交流のしやすさもあって、精神的にも助けられていた」という先の保護者だが、気になる傾向もあった。 「開成や筑駒が第一志望など高偏差値帯の保護者ほど、志望校や進学先、偏差値を出すことが多いんです。成績がふるわずクラス落ちしたこと、過去問の出来、すべての受験結果を明らかにしていて、野次馬としては面白いんですが、いくら子どもの同意があるのだとしてもまだ11、12歳の小学生です。本当に同意と言えるんでしょうかと心配になります。親の承認欲求が全開だなあと。そうしたアカウントは、母親より父親のほうがなぜか多いように思います」