「開成に合格!」中学受験する我が子の成績を発信、特定されるケースも 親の「承認欲求」に弁護士が警鐘
●「子どもの成績や受験経過は、本来子ども本人の個人情報」
アカウントの中には、妻や子はアカウントの発信内容に同意している、と宣言するものもある。しかし親が子どもに関して情報発信をする際に注意点はないのだろうか。 教育現場と子どもの権利に詳しい高島惇弁護士は、中学受験に限らず「(親が書いた)ブログが契機となって学校内でのいじめに発展したというケースも報告を受けたことがあります。そこまで至らずとも、『自分の私生活が周囲に知れ渡っている』という事実が、社会へ参加することに対する恐怖心という形で子の成育に大きな悪影響を及ぼす可能性もあります」と指摘する。 高島弁護士によれば、親による子に関する情報発信は、「保護者の子に関する情報コントロール権」と「子の自己情報コントロール権」とで権利の衝突が生じる可能性があるという。 「子どもの成績や受験経過については本来子ども本人の個人情報であり、子どもの成績の詳細、受験結果、子の日頃の様子など内容次第では不特定多数の第三者に知られたくないものと考えられます。子の個人情報がむやみに公開される場合には、たとえ親権に服する未成年者であっても、プライバシー権侵害の問題が生じる可能性があります」 不本意な投稿であった場合、未成年の子どもが親に対して削除請求はできるのだろうか。 「インターネット上の権利侵害という観点から検討すると、子本人が法定代理人である親権者から離れて単独で削除請求できるかという問題があります。現在の法律だと特別代理人の選任を要するなど迅速な削除請求を行うことはできませんが、今後社会的な関心がより強まってきた場合には、法整備を検討することも考えられるでしょう」 なお、子どもがSNSやブログでの情報発信をやめて欲しいと明示的に意思を表明したにもかかわらず、その意思に反して親がSNSなどで公表している場合、これは教育虐待とはならないのだろうか。 「その内容や頻度、子の拒絶状況次第では『その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動』として心理的虐待と評価できる可能性は、限定的ながら存在するかもしれません。 ちなみに、児童虐待の防止等に関する法律上においては『教育虐待』という定義は存在しません。現行法にて定められている児童虐待の類型では評価しきれない側面もあるため、今後、児童虐待の一類型として、別途法律上明記する必要性があるのではないと考えています」