エアレース王者の室屋義秀は連覇秘訣を永世7冠・羽生に学ぶ
空のF1と呼ばれるレッドブルエアレースの2018年シーズン開幕を前に唯一の日本人パイロット、室屋義秀(44)が18日、都内で“キックオフ会見”を行った。レッドブルエアレースは全世界から精鋭14人が参戦、世界8か所を転戦して総合ポイントを争う世界選手権だが、室屋は昨シーズン初の総合チャンピオンを獲得した。今シーズンはライバルからのマークと重圧を受け連覇に挑む1年になるが、「去年のことは終わったこと。連覇を考えないことが一番の連覇のキー」と“らしい表現”で抱負を語った。 過去、エアレースで連覇を果たしたのは、2015年を限りに引退したポール・ボノム一人だけ。昨シーズンは最終戦のインディアナポリス大会まで総合優勝の行方はもつれた。奇跡的な好タイムで室屋は優勝を飾ったが、もし、そこまで1位をキープしていたマルティン・ソンカ(チェコ)が4位でなく2位であれば、逆転優勝はなかった。上位の実力差は拮抗。敗れたチームは今シーズンに向け機体をチューンナップして巻き返しを計ってくるだけに、なおさら連覇は難しい。 さらに逆風も吹く。現在も関係各位が鋭意交渉中だが、3年連続で開催され、室屋も連覇を果たしているホーム大会である千葉・幕張大会の開催が微妙なのだ。アジアで、8月4、5日、11月と2大会が行われる年間スケジュールは組まれているが、まだ開催地は未定で日本開催の見込みは薄いという。 それでも室屋は、弱音をはかない。 「日本開催のない影響? ないです。世界中を移動していると、どこでやっているかわからなくなるし、そもそも、千葉で勝つことが目標ではなかった。それが目標であれば、大会がないとガックリもするが、なかったら、なかったでしょうがない。あったら、あったで嬉しいが」 連覇への心構えとして「守るより攻めろ」ーーはスポーツ界における格言のようになっているが、言うは易しの世界だ。だが、室屋は一人の見習うべき日本人の名前を出した。