エアレース王者の室屋義秀は連覇秘訣を永世7冠・羽生に学ぶ
もちろん室屋自身のチューンナップも怠らない。 「日々のトレーニングも含めて肉体も精神も昨年の最終戦の僕よりも良くなっている。肉体は老化していくが維持はしているし、精神は年齢に関係ない。さらに強くなる」 精神面では最速370キロのエアレースの世界で4勝もしたことで“ゾーン”体験が増えてきた。 「最終戦はまさにゾーンだったと思う」 ゾーンには、人によって様々な体感パターンがあるが、室屋の場合、「非常にゆったりと時間が安定して流れ、操縦操作がすごく簡単に感じた」という。 「わかったようなわかんないような。(ゾーンに)入ろうと思うと入れない。難しいんです。でもルーティンはわかっている。ルーティンを行う中でゾーンに入っていき、後から、それに気づくんです。入ろうと思いすぎると、そこに欲望が生まれ消える。エゴを拭い去ることができれば、そこに近づいていくのですが。いかにスポーツの熱い現場で、それを作り出せるのか。経験から“こういう感じかな”というものはわかっているが、どうすれば入れるかの方法論は簡単には説明できないもの。でも3年前ならば、まったくわかっていなかったものが、今は、どういうものかを感じることはできている」 具体的に2018年の連覇計画も出来上がっている。 「8戦中6戦でファイナルに進出。最低でも2勝はしたい。去年はソンカが2勝で優勝争いで並んだから。そこが最低ライン。安定した状態で2勝できるならば優勝に届く」 予選後、1対1のノックアウト方式で、準々決勝、準決勝と戦うエアレースは、ファイナルを4機で争うが、そこまで勝ち抜けば、表彰台に限りなく近づけることになる。昨シーズンは8戦中4勝したが、今シーズンは8戦中6度の表彰台を確保するのが、連覇への最低条件だという。 今シーズンから10Gを超えると「即失格」ではなくプラス2秒のペナルティを科せられる形にルールが変わるが、「すでに対策はしているので関係ない。2年前に変えてくれていたら良かったのに」と、動じる気配もない。室屋の連覇への挑戦は2月2日に灼熱のアブダビからスタートする。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)