ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨
[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は12日、中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げ、3.0%とした。利下げは3会合連続で、今年4回目。2025年の追加利下げの可能性にも含みを残した。 理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。 <為替レート> われわれは為替レートを目標にしていないが、もちろん為替とその変動はインフレに影響を与える。そのことに注意を払っており、今後数週間、数カ月間、引き続き注意を払うつもりだ。 <新しい文言> 金融政策の決定において「適切」であり続けたい。文言を比較するなら「制約的な」ではなくなり、「適切な決定」がそれに取って代わる。 <TPI> 「伝達保護措置(TPI)」について議論はなかった。 <方向は明確> 現在のところ、進むべき方向は非常に明確だ。明らかに、多くの領域がカバーされている。 <関税の影響> インフレへの全体的な影響は不確実だ。非常に複雑な変数がある。 <不確実な見通し> ここ数日で話し合ったことが一つあるとすれば、それはわれわれが直面している不確実性のレベルだ。 <中立金利> 中立金利について議論はしていない。 <インフレ構成とリスク> 目標にほぼ近づいていると完全に確信するためには、インフレの構成に変化が見られることを望んでいる。インフレに対するリスクは、以前よりも二面性が高くなっている。 <インフレ抑制は軌道に乗る> 2024年最後となる今回の理事会では、まだインフレに対する勝利宣言はできず、職務は達成されていないが、中期的には2%の目標達成に向けて順調に進んでいることを認めることとなった。 25ベーシスポイント(bp)利下げ提案は理事会の全メンバーの同意を得た。 <今回の利下げ議論について> 50bp利下げの可能性も検討するという議論もあったが、全員が一致して合意したのは25bpが正しい決定だという点だった。 <インフレ目標> 25年には2%になる見通しであり、それはわれわれの予測に明確に反映されている。 <インフレリスク> インフレ上昇リスクは、地政学的緊張の高まりからも生じており、エネルギー価格や輸送費が上昇し、世界貿易が混乱する可能性がある。さらに、異常気象や、より広範囲に広がる気候危機により、食品価格が予想以上に上昇する可能性がある。 対照的に、信頼感の低さや地政学的な出来事に対する懸念により消費や投資が予想ほど早く回復しない場合や、金融政策が予想以上に需要を抑制した場合、あるいは世界の他の地域の経済環境が予想外に悪化した場合、インフレは下振れする可能性がある。 エネルギー価格が引き続き低下しているため、インフレ率は短期的には現在の水準付近で推移すると予想している。その後は中期目標の2%前後で持続的に落ち着くはずだ。 <成長リスク> 経済成長に対するリスクは引き続き下振れ傾向にある。 <基調インフレ> 基調的なインフレは、総じてインフレ目標への持続的な回帰に沿って推移している。 <貿易摩擦> 貿易摩擦が激化しなければ、より低利になった融資が消費を押し上げるはずだ。しかし、世界貿易における摩擦拡大のリスクは、輸出を抑制し世界経済を弱めることでユーロ圏の成長を圧迫する可能性がある。世界貿易の摩擦が拡大すれば、ユーロ圏のインフレ見通しはより不透明になるだろう。 <経済回復> 経済は時間の経過とともに回復するはずだが、以前の予想よりも緩やかになるとみられる。 <金利経路を約束しない> ECBはインフレを2%の中期目標で持続的に安定させることを決意している。データに依存し、会合ごとに適切な金融政策スタンスを決定するアプローチを採用する。 特に金利決定は、今後発表される経済・金融データ、基調的なインフレ動向、金融政策の伝達の強さを踏まえたインフレ見通しの評価に基づいて行われることになるだろう。 特定の金利経路を約束しているわけではない。 <モメンタム> (成長は)勢いを失っている。