情報過多の時代を生き抜く CNNに学ぶメディアの未来とジャーナリズムの使命
AIが台頭してもブレない、CNNの報道姿勢
生成AIの登場により、メディア業界は急速な変化の渦中にいる。CNNもその例外ではない。ただ、報道姿勢だけはブレないと長屋氏は言う。 「AIが台頭し、多くの企業が投資を進める中で、この業界でもAIを活用する動きが加速しています。クリエイティブな制作現場でも、一部の作業をAIに任せられる時代が来る中、私たちも業務効率化の観点からAIを取り入れるべきだと考えています。とはいえ、ニュースメディアとして、人間がAIに取って代われてはいけないですし、やはり信頼性や透明性がないといけない。どんなにテクノロジーが進化し、人々の興味関心がニッチになったとしても、ジャーナリストが現地のフロントラインで自らの足と目と耳を使って取材し、報道し続ける姿勢は変わりません。もしかしたらそのスタンスは、オーディエンスを獲得し、利益を追求するというビジネス面とは相反するかもしれません。それでも、私たちの存在意義は、いまこの瞬間に何が起きているのかを報道することで、人々に選択肢を提供し、行動を促すことにあります。そこは、絶対にブレてはいけないと考えています」 長屋氏の話を聞き、CNNがいかに揺るぎない報道姿勢を貫いているかが伝わってきた。情報過多の時代において、信頼できるニュースを見極めるためには、メディアの報道姿勢にまで目を向けることが、情報の取捨選択に役立つだろう。