情報過多の時代を生き抜く CNNに学ぶメディアの未来とジャーナリズムの使命
オーディエンスファーストという明確なスタンスを持つ。CNNが考える「広告」
CNNでは、ニュースのみならず広告展開にも力を入れているが、そこには「オーディエンスファースト」という明確なスタンスがある。クライアントが伝えたいことと読者が知りたいことの接点を探す際、CNNは視聴者の視点を最優先する。 「私たちは、『オーディエンスファースト』を大事にしています。オーディエンスファーストとは、配信先の視聴者にとって響くコンテンツを最優先で考えるというスタンスです。私たちは消費者の行動パターンをトラッキングしていますし、長年の経験からどのような内容が特定のターゲット層に刺さるかノウハウも蓄積しています。広告主からは製品の機能面をストレートに伝えたいという要望が出されることも多いですが、そのままでは視聴者に響きづらく、共感を得にくい場合があります。そのため、私たちはオーディエンスの目線も立ち、『こういう内容だと見てもらえますよ』と提案しています」 さらに、CNNは「エモーショナルコネクション』も重視しているという。 「エモーショナルコネクションとは、第三者目線を通じて視聴者に共感を得るコンテンツを提供することです。例えば、観光の付加価値を旅行者に届けたいと考えたとき、観光名所の紹介をそのままするのではなく、現地で長年にわたって漆塗りを手がけてきたイギリス人女性の姿を紹介し、彼女を通じてその土地の魅力を伝えました。こうしたストーリーは視聴者の関心を引きつけ、より深い共感を生むのです」 広告において、媒体側で明確なスタンスを持つことで、読者にとって興味深いコンテンツが生まれると同時に、CNNでは「ブランドセーフティ」と「ブランドスータビリティ」も大切にしている。 「ブランドイメージが損なわれないことはもちろんですが、ブランドの特性と合わない場に広告を表示しないこともCNNでは大切にしています。視聴者に違和感なくブランドが入ってくるような体験を心がけているんです。特に海外では、ブランドセーフティに加え、ブランドスータビリティを意識することが当たり前になっており、健全なサイトに広告を出すことまで広告主が配慮しています。しかし、日本ではまだその意識が十分に根づいていません。広告の本当の目的はクリックしてもらうことではなく、ブランドを正しく理解してもらい、コアバリューやミッションにより深い理解を持ってもらうことです。日本の広告主の方にも、健全なメディアやプラットフォームへの広告出稿を意識してもらいたいと思っています」