「インパクトまで約1秒」日本では珍しいパット専門コーチの教えVol.2
良くないのは、スキットが10%、15%、7%…とバラついてしまうこと。ボールが曲がり始めるポイントも変わってしまいます。またスキットが大量に発生すると、ボールが跳ねてしまい転がりにも直進性がなくなってしまう。結果、距離感にもバラつきが出ます。選手のバターをフィッティングする際は、クインテックを使ってこのスキットがどれだけ安定しているかなども見ています。スキットを安定させることで、ボールの転がりは良くなっていきます。
スキットを安定させるために影響してくるのが、二つ目と三つ目の項目、「ランチアングル」と「スピン」です。ランチアングルはショットでも使う用語で、ボールを打ち出す高さのことです。パットも一緒で、ボールの打ち出す高さとスピン量が重要になってきます。 グリーン上では、芝に沈んだ状態のボールを一度持ちあげる必要があります。その際の適正なランチアングルが0.5度から2度。スキットと同様に、ボールデータを取るときにこのランチアングルもチェックします。 ランチアングルを決める要素には二つのロフトが絡んできます。一つは「静的ロフト」、つまりパターのロフト角です。クラブ自体のロフトが何度なのか、レッスンする時は必ず最初に計測します。
もう一つが「ダイナミックロフト」、いわゆるインパクト時のロフト角です。ランチアングルに約80%影響してきますから、ここもしっかりとチェックします。ダイナミックロフトは主にシャフトの傾きに影響を受けます。ハンドファーストに当たればダイナミックロフトは立ち、ハンドレートならロフトは寝る。アマチュアの約7割近くの方がハンドレートで構える傾向があり、ダイナミックロフトが必要以上についてしまうことで、ランチアングルは適正より多く出てしまいます。
ハンドレートになる主な原因としては、右手からアドレスに入り、右肩を軸に構えてしまう方が多いからだと思います。アドレスでロフトがついた状態で構えやすく、さらにインパクトでアドロフト(ロフトを増やして)して打つパターンが多いですね。 ハンドレートで構えると大体アッパー軌道になります。クラブの最下点がボールの7~8cm手前になり、さらに構えた時点でフェース下部が前に出ているので、打点はフェースの下目になりがちです。ダイナミックロフトがついて、なおかつアッパー軌道で打点が下目。これだとバックスピンが入る条件が揃います。打ち出しが高くてスピンも入ると、ボールの転がりは悪くなる。この状態で距離感を作ることは非常に難しくなります。