「インパクトまで約1秒」日本では珍しいパット専門コーチの教えVol.2
ですから、選手にコーチングをする際は、まずテンポとリズムを固定してもらいます。メトロノームを聞いて90ビートと決めたら、頭にそのリズムを刻み込んでもらう。あとは同じリズムの中で振り幅とヘッドスピードを変化させ、ボール初速をコントロールします。岩崎亜久竜プロもスタート前のルーティンでは、必ずメトロノーム聞きながら、10m、15mとそれぞれの距離の振り幅を練習しています。グリーンの転がるスピードは毎日変わるので、自分のテンポとリズムで打った時に、「この振り幅で今日はどれだけ転がるのか」ということを確認してもらっています。 このやり方をアマチュアの方にも提案しています。朝の練習グリーンでカップばかり狙う練習はお勧めしません。自分の振り幅もテンポも明確にせず、バラバラの振り幅とヘッドスピードでは、効率よく距離感をつかむ作業はできません(さらに打点もバラバラになる)。メトロノームを聞くだけでもいいですし、一定の振り幅にティを刺して振り幅を可視化するだけでもいい。基準をもってボールを転がしてあげると、その日のグリーンに対応できるスピードを作ることができるはずです。
「いい転がりとは?」ボールの転がりを決める3つの要素
次は「ボールロール」、いわゆるボールの転がりです。僕は普段「クインテックボールロール」という機材を使って、プレーヤーのボールデータを測定しています。ボールの転がりについて、よく「順回転がいい」とか「跳ねないように」などと言われますが、いい転がりを生むには以下の3つの要素が大切になります。 1. スキット 2. ランチアングル(打ち出し角) 3. スピン 一つ目の「スキット」とは、インパクト後にボールが地面の上をスライドしている状態を指します。インパクト後、ボールは向きを変えずに無回転で横滑りしています。いいボールの転がりが出た場合、スキットはカップまでの距離の約10%になります。3mのパットだったら30cmで、その間はグリーンの傾斜の影響をほとんど受けません。