「インパクトまで約1秒」日本では珍しいパット専門コーチの教えVol.2
ストローク時間の比率は「2:1」
ひとつ目の「加速」が、インパクトスピードに大きく影響します。ストローク中にアクセルは2回踏むもので、クラブを動かし始める「始動」が1回目。トップからの「切り返し」、クラブが方向転換する時が2回目です。アマチュアの方は、2回目の加速のタイミングがバラバラになりやすい。原因に「振り幅」があります。 例えばカップまでの距離に対して短いテークバックをとってしまった場合、(カップまで)届かなそうだから、大体の人は切り返しで急加速させてスピードを上げますよね。逆にテークバックで大きく上げすぎると切り返しで緩み、減速につながることもあります。距離に対して適正な振り幅が取れないと、安定した加速はできません。 加速をコントロールするには、このアクセルを踏むタイミングがズレないことが大切です。PGAツアーの選手の平均ストローク時間は、始動から2回目のアクセル(切り返し)までが平均0.66秒、そこからインパクトまでが0.33秒。つまり、ストローク時間の比率が2対1(アドレスから切り返しが2、切り返しからインパクトが1)になります。この関係を理解できるとストロークのリズムが良くなり、加速も安定してきます。
アマチュアは「遅い」
一方で、振り幅は「テンポ(ストローク時間)」と「リズム」が基準になります。PGAツアー選手の平均テンポ、ストロークにかける時間は1秒。始動からインパクトまで正確には0.99秒です。対してアマチュアの平均データは、始動からトップまですでに0.82秒。インパクトまで含むとトータル1.22秒、最も遅い方で1.44秒でした。PGAツアーの選手より明らかに時間がかかっています。 さらにストローク時間に対してリズムがあり、人それぞれで異なります。タイガー・ウッズで大体115ビートといわれています。メトロノームなどで聞くと115ビートはけっこう速く、テークバック時間でいうと0.55秒ぐらいしかかかっていません。映像で見ても分かる通り、タイガーはテンポもリズムも速いです。 振り幅、テンポ、リズムがなぜ密接かというと、テンポとリズムは基本的にどの距離になっても変わらないからです。変わらないというよりは変えない。つまり、ストローク時間とリズムを固定した中で、振り幅によってヘッドスピードを変化させ、ボール初速を変えているわけです。パットの上級者は、同じストローク時間の中で、クラブの動く幅を変えて距離を打ち分けているのです。