クリント・イーストウッドのお洒落な着こなしが堪能できる異色作に登場した、名品"サファリジャケット"とは?
お洒落なイーストウッドが堪能できる
実はこの映画には、ファッション好きには堪らない要素が詰まっている。舞台は『アフリカの女王』の撮影に取り掛かった50年代初頭で、冒頭に組み込まれたのが、英国の広大な邸宅のシーン。映画監督ジョンを演じるイーストウッドは、真っ赤な乗馬服に生成りのジョッパーズに乗馬ブーツという華麗なスタイルで登場する。アスコットシャツに黄色のベストまで合わせ、まるで英国貴族のようなスタイル。こんなお洒落なイーストウッドはなかなか見られない。他方、ロケに出掛けたアフリカでは狩猟でイーストウッドが見せるのが、完璧なまでのサファリスタイルだ。上下カーキのセットアップに身を固め、銃弾を収納するカートリッジバッグを斜めに掛けて猟銃を持つイーストウッドの姿に凛々しささえ感じる。 作中の彼のスタイルを彷彿とさせるサファリジャケットがある。日本のパパスというブランドが今シーズン、アメリカのウィリス&ガイガーと組んで製作したジャケットだ。ウィリス&ガイガーはノーベル賞作家のアーネスト・ヘミングウェイが愛用したことで知られる1902年創業の老舗。さらにヘミングウェイはパパスというブランド名の由来であり、ヘミングウェイが着て似合う服を創造してパパスのコレクションは毎回デザインされている。 今回のサファリジャケットは、素材づくりから縫製まで徹底してこだわるパパスらしい一着。緯糸にあえて麻100%の糸を織り込み、綿55%、麻45%の高密度でハリとコシがあるポプリン素材に仕上げている。加えて縫製も日本で行い、ステッチ巾を12~13針/3cmに統一、カジュアル感が強すぎない、大人仕様のサファリジャケットに仕上げている。パパスのこだわりとウィリス&ガイガーのテイストが見事に融合された意欲作で、それは今回紹介する作品にも通じるだろう。
パパス
TEL:03-5469-7860 https://papas.jpn.com/
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一