豪徳寺駅の魅力は「招き猫」だけじゃない! 南北の商店街におしゃれカフェ、西洋建築や銭湯も充実してた
◆豪徳寺以外にも見どころあり
豪徳寺周辺の歴史スポット・散策スポットは、実は豪徳寺だけではありません。江ノ電に神社に西洋建築、きれいな並木通りに銭湯と、コンパクトながら注目スポットは多くあります。実は豪徳寺への最寄り駅は、豪徳寺駅ではなく東急世田谷線の「宮の坂駅」。そこに隣接する「世田谷区立宮坂区民センター」は、会議室や就労施設、体育館など併設のコミュニティー施設です。 同敷地内にはピザレストラン「POCO(ポコ)」も。豪徳寺詣での前後にランチを済ませたい時にちょうどいいお店です。世田谷線でかつて使用されていた旧車両も展示されていました。この車両は1925年に製造され、1969年までは世田谷線を含む区間を実際に走っていたものです。 車両は後に江ノ島電鉄に譲渡され、なんと平成に入った1990年まで現役だったそうです。現在の車両は内部を自由に見学できるので、緑色のシートに腰を落ち着けながら、往時にこの車両が世田谷線を行き来していた風景に思いをはせてもよさそうです。豪徳寺からほど近い「世田谷八幡宮」は入り口の真っ赤な大鳥居が何とも威風堂々! 階段を少し上がった境内は大銀杏の木に見下ろされ、なんとも穏やかな気配です。観光客が多くてにぎやかな豪徳寺とは対照的な雰囲気。また、世田谷八幡宮では作物の豊作・凶作を占う神事として奉納相撲が行われていたため、現在でも境内に土俵などがあり、毎年秋の例大祭では東京農業大学の相撲部員が奉納相撲を実施しています。 そのほかには豪徳寺の北側地区にある「旧尾崎テオドラ邸」も、豪徳寺を代表する名スポットの1つ。こちらは明治期の官僚・男爵であった尾崎三良(さぶろう)氏が、イギリス生まれの娘・尾崎テオドラ英子女氏のため(現在の)東京都港区で1888年に建築し、それを譲り受けた英文学者が1933年に豪徳寺へ移築したものになります。 邸宅は現在も水色に塗られた外壁が空の色のように鮮やか。この建物は老朽化のため2020年に取り壊し予定だったものが、近隣住民の助力やクラウドファンディングにより修繕されたそうで、こうした所からも豪徳寺地域の住民同士で縁や絆が深いことが感じられますね。現在はギャラリー部分を有料で見学可能なほか、レンタルスペースの貸出しも行われています。 豪徳寺駅~経堂駅の間に続く「ユリの木通り」もお散歩スポットの1つ。秋の盛りにはユリの木が黄色く色づき、さながら銀杏並木のような黄金色になります。通りと併走する「北沢川緑道ユリの木公園」は「せたがや百景」に選ばれ「せたがや界隈賞」を受賞したこともあります。 そして豪徳寺巡りの後は、豪徳寺商店街の中にある「鶴の湯」がおすすめ。1949年建築の年季が入った建物を2012年にリノベーションしており、浴室内は開放的で清潔。サウナはないものの露天風呂・軟水風呂・水風呂・ジェット・バイブラと設備が充実しており、銭湯マニアにとってはたまらない店舗ですよ!
◆豪徳寺は商店よし、散策スポットよし、電車よし!
豪徳寺駅は小田原線と世田谷線の2路線が使えることや、招き猫と縁の深い豪徳寺が有名なだけでなく、商店街の雰囲気や寺以外の見どころの多さも手伝って、非常に住環境が整った街と言えます。豪徳寺&世田谷八幡宮など寺社仏閣から開運パワーをもらい、銭湯で心身をデトックスすれば、健やかで快適な生活を送れそうな気がしてきます。 この記事の筆者:デヤブロウ プロフィール 都内在住の街歩きライター。Yahooエキスパートとして台東区の地域情報を発信するほか、「macaroni」など複数メディアで執筆を行う。飲食店、博物館、銭湯巡り、寺社探訪を中心に地域情報を発信中。東京シティガイド検定を取得済み。
デヤブロウ