ジム消滅ショックの亀田京之介が僅差判定負けで新人王逃す。挑発、そして号泣「めちゃくちゃプレッシャーがあった」
今後については、ボクシングを続けるかどうかの進退も含めて「どうなるかわかんない。ゆっくりと考えて、またどうするかを決めます」と白紙状態であることを明かした。 花形ジムとの3か月の”臨時契約期間”が過ぎると、新しい所属先も見つけなければならない。内田チーフトレーナーは、ジムとしてはオーナーライセンス資格を持つ人間を新会長に立てて、今の場所で新しいジムを存続させ、そこに京之介を所属させたいという考えを明らかにしたが、当の本人は「それも含めてゆっくり考えたい」と言葉を濁した。 ――亀田家は、やられたらやりかえすーーが家訓ではなかったのか? そう聞くと「そりゃ、今からもう一回やりたいという気持ちはありますよ。でも今の立場を考えたらそうじゃない。今のままなら同じ負け方しますよ。練習不足。もっと練習せんとダメですね」と神妙な表情になった。 そして「今は休みます」と言い「もういいですか」と自ら取材を打ち切った。 後楽園の廊下で報道陣の取材に応じた前田は、「今のレベルではまだまだ上にはいけない。世界に早く近づけるようにしたい」と謙虚だった。昨年11月に15年間極め、10冠を獲得した日本拳法からボクシングに転向、この4月にプロデビューしたばかり。本石会長は、来年4月12日、エディオンアリーナ第二で行われる会場で、新人王獲得凱旋試合を組み、その後、「キャリア不足を露呈した。どんどんハイペースで試合をさせていきたい。日本タイトル挑戦は、再来年。まずは来年、シルバーやユースなど取れるだけのタイトルを取っていきたい」との青写真を描く。 ユース王座やJBC非公認のシルバーなどのタイトル戦を組んでいき、再来年には、日本タイトル挑戦を実現、世界へのステップにしたいという。ボクシング転向1年で、話題の亀田を破って新人王まで上り詰めた異色のボクサーは、エリート養成計画に乗ってキャリアを積んでいくことになる。 勝者がすべてをつかみ、敗者には何も残らない……これが残酷なプロボクシングの世界ではある。だが、こんなシーンに出くわした。父で専属トレーナーの忠孝氏と共に囲み取材を受けている前田の元に亀田がやってきたのだ。そして「ありがとうございました」と挨拶した。亀田3兄弟の若手時代には、見たことのないGOODルーザーの姿だった。敗者の亀田京之介の未来にも、きっと何かが残ったのだろう。(文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)