「格好いい!」「カルチャーショック…」フィンランドの高校生が、日本の公立小学校に感動した理由
◆日本の小学校の記録映画がフィンランドで大ヒットしたわけ
今回、彼らがフィンランドから日本の小学校を訪れることとなったきっかけの1つが、『小学校~それは小さな社会~』という日本のドキュメンタリー映画。彼らが訪れた塚戸小学校こそが、この映画の舞台となった学校でした。 本作は、日本とイギリスにルーツをもつ山崎エマ監督が「私はなぜ自分を"日本人”だと思うのか」と考えて構想し、「海外の人が想像する"日本人”像が形成されるのは小学校段階である」という仮定のもと、約1年間・400時間をかけて普通の公立小学校の風景を追いかけたドキュメンタリー映画です。 映画は、大事件が起こるわけでも、先進的な教育方法が提唱されるわけでもなく、淡々とどこにでもある公立小学校の風景が記録されています。その内容を今、世界中の人々が驚きと感動をもって称賛しています。中でもフィンランドでは公開から4カ月以上ロングラン上映されるという海外作品としては異例のヒット作品となりました。 なぜ教育大国であるフィンランドで、日本の教育ドキュメンタリーがこれほどまで注目を集めたのでしょうか。 今回、高校生の引率で来日した同高校の副校長・サリ先生は、フィンランドでのヒット理由についてこう分析しました。 サリ先生「現在のフィンランドの教育は『子どもたちの自由を尊重すること』に意識が向き過ぎているのではないかと言われています。自由を尊重するのは大事ですが、その結果、他人を思いやるポライトネス(人を思いやる気持ち)が失われているのではないかという声もあります。この映画が、今後のフィンランドの教育について考えるよいきっかけになったのではないかと思います。 また、フィンランドでは、学校内のシステムのデジタル化がますます進んでいます。便利なことではありますが、映画に出てきた日本の子どもたちのように、もっとリアルに関わり合い、互いを思い合うことの価値について考え直す必要があるのでは、という意見もあります」 高校生たちも、この映画を見て塚戸小学校に来ることを特に楽しみにしていたようです。 高校1年生の男子学生「映画のとあるシーンにとても心が動かされたし、小さな女の子が目の前のことに全力で取り組んでいるシーンに感動しました。この映画を見て、日本の小学校はとても厳しいと感じたけれど、実際に学校に来てみてそういう面だけではないというところに少しほっとしました(笑)。今回の教育旅行で見聞きした日本の学校の様子を、フィンランドの友達にも共有しようと思います」