南海トラフ「注意」 中部企業、BCP再確認 安否確認など周知 小売り、買いだめ対応も
政府から南海トラフ地震臨時情報で「巨大地震注意」が初めて発表されたことを受けて、小売り業界では、飲料水やレトルト食品などを買いだめする客が訪れたほか、ホテル業界では宿泊のキャンセルなどの影響もあった。ただ、一夜明けた昨日は「巨大地震注意」に対する理解が進み、混乱は限定的だったようだ。中部企業などの動きを探った。(4面に関連記事) 在庫切れ 四日市市内のスーパーでは、注意情報が発表された8日の午後7時過ぎ、飲用水やパックご飯、電池などを買い求める客で混雑し、一部商品で品切れが出た。 ドラッグストアのスギホールディングス(本社大府市)も、水やレトルト食品、消毒薬、ばんそうこう、ボディーシートなどを買い求める客が増え、店頭から在庫がなくなる事態も。担当者は「出店地域が南海トラフ地震の範囲と重なっているため、全国の店舗で同様の動きがある」と話す。 食品スーパーのヤマナカ(本社名古屋市)は、店頭で販売する水が品薄になったことで数量制限を設け、買い占めなどを控えるように呼び掛けるお願い文を店頭向けに用意した。
キャンセル 観光業にも影響が出ている。鳥羽市内で大規模ホテルを運営する社長は「キャンセルが出ている。今夏は宿泊が新型コロナ前の水準に戻るとみていたが…。『地震が起こるかもしれない』といった風評が広がらなければ」と不安を口にする。 巨大地震の注意喚起は1週間程度だが、名古屋JRゲートタワーホテル(名古屋市中村区)では、9~18日のうち、一部で地震の影響とみられるキャンセルがあった。名鉄グランドホテル(名古屋市中村区)でも、連泊予定を切り上げて帰国した訪日客がいたほか、海外からの予約でキャンセルが出たという。 備蓄品 冷静な対応が求められ中、レジャー施設は安全管理を徹底し来場客を迎える。 遊園地などを抱える「ナガシマリゾート」(桑名市)や「志摩スペイン村」(志摩市)では、政府や自治体からの要請を注視しながら通常営業を続ける方針。従業員やスタッフらに対して避難誘導経路の確認や備蓄品を再確認した。