日体大ボディビル部の“兄貴”が悲願の金メダル獲得「仲間の期待に応えるためにがんばろうと思った」【東京クラス別選手権】
第38回東京クラス別ボディビル選手権大会が6月2日に開催され、ミスター75kg以下級で三矢紘駆が頂点に立った。三矢は日頃、日本体育大学で体育学科の助教を務めており、同学ボディビル部のコーチでもある。当日はボディビル部の教え子たちや顧問のバズーカ岡田が応援する中、磨き上げた肉体をステージで披露した。 【フォト】日体大ボディビル部コーチ・三矢が見せたマッスルボディ
観客から飛んだ「兄貴!」という声援は彼の人望を物語るものだ。三矢は大会後、「自分のためにがんばるんじゃなくて、仲間の期待に応えるためにがんばろうと思って、何とか最後までやりきれたところがありました。自分ひとりの力だとここまでたどり着けなかったです」と思いを話してくれた。 振り返れば、2016年の東京オープンボディビル選手権で競技デビュー。長く大会出場を続けてきたものの、優勝にはなかなか手が届かなかった。そこで背中を押してくれたのがボディビル部の学生たちや恩師である岡田の存在だ。 「大会前最後の脚の日とか、スクワットを担ぐのがめっちゃ怖いんですよ。大会前に気持ち的に負けてしまうので、もしできなかったらどうしようって。そういう時に岡田先生や学生たちの顔が思い浮かぶんです」
もともと骨が細く、筋肉がつきにくい体質だった。それゆえに地道に毎年トレーニングを継続することでコツコツと体をつくってきた。減量面では毎年、「あと少し絞ることができたら…」と反省が残る中、今年はその壁を越えた。大会経験の積み重ねやそこで得た刺激、周囲への思いが結集し、今回の結果にたどり着いた形だ。 「8月11日に第16回日本クラシックボディビル選手権が福井で開催されるので、そこで表彰台を狙えるようにもうひと仕上げがんばります。あと2か月くらい時間があるので、6月いっぱいくらいは体を休めて、また7月中旬くらいからスイッチを入れ始めようかと思います。来年は東京選手権からチャレンジします」 筋肉も信頼も地道にコツコツと。日体大の“兄貴”が今年、開花の時を迎えようとしているのかもしれない。
取材・文/森本雄大 写真/木村雄大、森本雄大