リバースモーゲージやリースバックで高齢者の不動産売却が活発になっている! 買いたたかれるケースもあるが意外なメリットも?!
高齢者がつい最近まで住んでいた家や、今も高齢者が居住中の不動産がよく売りに出されています。その理由としてリバースモーゲージやリースバックが関係しているケースがあり、その現状について銀行員が解説します。このような状況は、自宅購入や住宅ローンを検討している人にとってはプラスになることもあるので、ぜひ参考にしてください。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員) 東京の地方銀行が「リバースモーゲージ」に積極的な理由とは 目次高齢者の住む住宅が売却される3つの原因リバースモーゲージやリースバックがなぜ売却の原因になるのか買いたたかれるケースもあるが、感謝している人もいる
高齢者の住む住宅が売却される3つの原因
銀行員の仕事として、不動産の現地調査を行うことがあるのですが、最近感じるのは、高齢者がつい最近まで住んでいた家や、現在も高齢者が居住中の不動産が、よく売りに出ていることです。 なぜ、このような状況になっているのでしょうか。その主な原因としては、以下の3つが考えられます。 ・「(元)新興分譲地」に住めなくなった高齢者が流出 ・空き家問題を抱えたくないから ・リバースモーゲージやリースバックで手放すパターンが増加中「(元)新興分譲地」に住めなくなった高齢者が流出 高齢者の家といっても、特に目立つのが首都圏や周辺のベッドタウンなどで「新興分譲地」として開発された場所です。 新興とはいっても開発から数十年がたっているので「(元)新興分譲地」と表現した方がよいでしょう。 一戸建て住宅が密集し、かつては子育て世代が中心に暮らすにぎやかなエリアだったはずです。 しかし、時間がたつにつれ住民の高齢化も進み、もともと自家用車で通勤する前提の立地だったところも多いので、高齢になると「バスがない」「坂道がつらい」などの理由で人が流出しているのです。 空き家問題を抱えたくないから 最近、話題になることも増えてきたいわゆる「空き家問題」(空き家を持っていることで生じるさまざまな問題)が、高齢者の不動産では差し迫った可能性が高くなります。 所有している高齢者本人はもちろんのこと、その子供世代も、「親が亡くなったり、施設に入居したりして空き家になったら、その空き家と『空き家問題』まで抱えることになりイヤだ」と、今のうちから手放すよう親をせっつくケースもあるでしょう。 こうした事情から、高齢者が「空き家問題で子供に負担をかけたくない、近所にも迷惑をかけたくない」と、元気なうちに売却するケースもあるようです。 リバースモーゲージやリースバックで手放すパターンが増加中 リバースモーゲージとは、高齢者が自宅を担保にしてお金を借りるローンのことです。また、リースバックは、自宅を専門業者に売却して、その「元自宅」を業者から賃貸し、家賃を払うことで自宅に住み続けることができる仕組みで、高齢者の利用が多いのが特徴です。 近年、生活資金が必要になった高齢者が、リバースモーゲージやリースバックといった新しい資金調達の手段を利用することが増えてきました。 そして、これらを利用することで、高齢者が自宅を手放すケースも増加しているのです。こちらは次項で詳しく解説します。