Chill CARS|《いすゞ ジェミニ(1st)》ミニマルなデザインを持つ、輸入車的な国産車。
国産車のほとんどは日本で開発・生産されるが、近年ではあらかじめ海外市場での販売を見越したクルマも少なくない。しかしかつては、国内専売車が大多数だった。 【フォトギャラリーを見る】 一例として1970年代前半の国産車は、視覚的に高級感のあるクルマが好まれ、内外装デザインも装飾過多気味だった。それは大衆車クラスでも同様で、抑揚が大きい派手なボディラインを持つクルマも少なくなかった。 しかし、〈いすゞ〉が1974年に発売した初代《ジェミニ》は、極めてシンプルなデザインを特徴とした。車体はプレーンな面で構成され、過度なメッキの使用、派手な造形も抑えられていた。 それには理由があった。初代《ジェミニ》は、アメリカに本社を置く〈GM〉によるグローバルカー構想「Tカー」の一員として開発されたためだ。Tカーの開発は、〈GM〉傘下だったドイツの〈オペル〉が主体。71年に〈GM〉と調印した〈いすゞ〉が《ジェミニ》を送り出した際、その外装は〈オペル〉のTカー《カデット》に準拠していた。《ジェミニ》が国産車らしからぬ輸入車的な雰囲気があるのも納得だ。 昨今の国産車はシンプルなデザインに回帰しつつあるが、デビュー後約50年を経た《ジェミニ》を観察すると、余計な要素を排したミニマルさに改めて驚かされる。洗練と雑多が入り交じる現代の街中に《ジェミニ》を置けば、そのクリーンさはより一層際立って見えるのではないだろうか。
country: Japan year: 1974-87 seats: 5 size: L4,135×W1,570×H1,360mm price: approx 3,300,000 yen
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