歯のエナメル質が侵食される⁉ リンゴ酢がもたらす健康リスクとは?
リンゴ酢を代表とするサイダービネガーは、消化の働きを助け、ダイエットにも効果があると、ソーシャルメディアを中心に絶賛されることが多いが、その噂は信じていい話だろうか? 消化器専門医がその真実と嘘について解説している。 一般的に、サイダービネガーはサラダドレッシングに欠かせない材料だが、SNS上では、ダイエットや、血糖値の上昇を抑えるためだったり、はたまたニキビにもいいと紹介されるなど、まるでさまざまな効果をもたらす奇跡の品のように扱われることも多い。しかし実際のところ、はたして本当に健康にいいものなのだろうか? 消化器専門医のジュリアン・スカンジ医師は、自身のインスタグラムでリンゴ酢の効能について分析している。
ダイエットの効能は、実証データがない⁉
動画の冒頭の部分で、彼はリンゴ酢の主な健康効果について詳しく説明しているが、リンゴ酢は、胃液やその他の消化酵素をより多く分泌するため、消化を促進し、また抗菌作用があるとしている。また、インスリン感受性を改善し、血糖値を調節するため、糖尿病患者(または糖尿病のリスクがある人)にとっても、興味を引く食品と言えそうだ。また、ポリフェノールが豊富に含まれるため、抗酸化力にも期待していいだろう。 一方で、多くの人間が、リンゴ酢によってコレステロール値が下がるだの、ダイエットに成功しただの言って称賛しているが、医師はこれらの説は、科学的データに基づいておらず、根拠がないと一蹴。「たとえリンゴ酢に、健康的な長所がたくさんあるように見えても、それ自体を奇跡の治療法や痩身剤として考えるべきではない」と、強調している。そして「有益な効果を実証する研究のほとんどは、動物で行われているし、人間のデータは足りていない」と断言する。 さらに医師は、リンゴ酢の善玉菌によって、腸内細菌が増えたり、消化器官の性能を向上させるといった考え自体も否定する。「真のプロバイオティクス効果を期待するには、酸性度が高すぎるようです。ほとんどの微生物は、酢の酸性度に耐えられません」と付け加えている。
適度に摂取しないこと
ほかにも、リンゴ酢を定期的に摂取することによって、歯の健康リスクが高まるようだ。「薄めずに過剰に摂取したり、その後に歯を磨かなかったりすると、歯のエナメル質が侵食される危険性があります」と彼は警告している。また、リンゴ酢には、アレルギー患者に炎症症状を引き起こすヒスタミンが豊富に含まれていることも知っておくべきだろう。 text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto