小泉今日子に聞く、対話の心得。「人の言葉で傷つかないし、私も人を傷つけないようにする」
小泉さんがつなげる連鎖。「同世代の人をまず元気にしたい」
―ちょっと考えが違うかもしれない人と話すことは勇気が必要でもありますよね。いろいろな人との対話を続けられてきた小泉さんが、対話をするうえで意識されていることやコツがあったらお伺いしたいです。 小泉:一番のコツは、傷つく必要がないという気持ちを持っていることです。人の言葉に傷つく必要がないというか、傷つかないって私は決めています。そして、自分も人を傷つけないようにする。 あと会話もそうですけど、動かさないと水は腐るでしょう。水が腐らないように優しさを循環したり、楽しさを循環したり、そういうことを小さいところでいっぱいやっていって、いつか循環の輪が大きくなったらいいなと思っているんですよね。 いま60歳まではライブをやろうと思っているんですけど、私のライブに来て元気になった人が家に帰ると子どもたちも元気にできて、その子どもたちが元気になったら友だちも元気にできて……みたいな。そういう空想をよくします。 だから同世代の人をまず元気にしたいと思っています。身体も疲れてきてるし、精神的にも身体的にも具合が悪い人も多くなってくるときだから。 ―同世代を見ていらっしゃるんですね。 小泉:その人たちの余波が下の世代の人たちにいくと思うから。 ライブで「10代の人」って聞くと、1人2人いて、「何で来てんの!?」ってなって(笑)。「20代の人」「はーい」とか言って、「あらいいお年頃ね」となって、30代の人、40代でちょっと増えるんですけど、50代の人って言ったら、すごく大きな「はーい!」って返事がくるんです(笑)。そうやって、みんな元気でいてねって思います。
インタビューby 生田綾、南麻理江 / 撮影by 鈴木渉 / スタイリスト by藤谷のりこ / ヘアメイクby 石田あゆみ