過度に不器用。発達障害の一種「DCD(発達性協調運動症)」。姿勢、指先の使い方など家庭でできるサポートのコツとは?【専門家に訊く・後編】
DCDは、日々の生活が困るほど不器用だったり、運動が苦手なことが特徴
発達障害の一種であるDCD(発達性協調運動症)。主な特性は、日々の生活に困るほど過度に不器用だったり、運動などが苦手なことです。DCDの有病率は5~11歳の約5~6%といわれて、とくに男の子に多く見られます。作業療法士・東恩納拓也先生に、後編では家庭でできるDCDのサポートについて教えてもらいました。 【画像6枚】DCDのサポート方法をイラストで解説 DCDとは「Developmental Coordination Disorder」の略で、日々の生活が困るほど不器用だったり、運動などが苦手なことが特徴です。たとえば同じ年齢の子と比較して 「ボタンやファスナーが苦手で、着替えが遅い」 「運動が苦手で、体育の授業についていけない」 「箸が上手に使えず、食べこぼしが多い」 「姿勢が悪い」 「字を書くのが苦手で、マスから字がはみ出す」 「転んだり、ぶつかったりすることが多い」 「コンパス、じょうぎなどの学習用具やリコーダーなどの楽器が上手に使えない」 などの様子が見られます。 ■DCDは、脳のシステムがうまく働かないために起こる DCDの明確な要因は明らかになっていませんが、自分の体を思い通りに動かしたり、新しい運動を学習する脳のシステムがうまく働かないために起こると考えられています。 DCDは、発達障害の一種なので完治することはありません。しかし療育に通ったり、ママ・パパがサポートすることで苦手なことが少しずつできるようになっていきます。
家庭でできるDCDの子どもへのサポート
家庭でできるDCDのサポートの一例を紹介します。 ①姿勢の改善 DCDのある子どもは、筋力のコントロールが苦手で姿勢が悪い子がいます。 姿勢が悪い子は、ママ・パパと押し相撲をしたり、ボルダリングなど登る遊びをすると姿勢を保つ筋力がアップしていきます。 また椅子の座面に100均で売っている滑り止めマットを敷いたり、膝の裏に当たるように座面にタオルを巻いて、おしりが前滑りしないようにするのもおすすめです。 ②「ボタンを留める」練習 ボタンを留めるのが苦手な理由は、指先をうまく使えなかったり、見えにくい部分の操作が苦手なことが考えられます。 家庭では、まずはママ・パパがボタンホールを広げてあげて、子どもがボタンを通す練習をしましょう。慣れてきたら、子ども自身でボタンホールの穴を広げて、ボタンを通すようにします。ポイントは、スモールステップで1つずつ教えていくことです。焦りは禁物なので注意しましょう。 ③箸使いの練習 箸を上手に使うには、細かい指の動きができるようになることが必要です。洗濯ばさみをはさんで遊んだり、お手伝いでトマトのヘタをとったり、玉ねぎをむくなど、日ごろから積極的に指先を使うように促しましょう。