元世界王者の谷口将隆、タノンサックに惜敗 世界2階級制覇遠のき「もうやりきった」と現役引退を示唆
プロボクシングのIBF世界ライトフライ級2位決定戦&東洋太平洋同級タイトルマッチが15日、大阪・HOS住吉スポーツセンターで行われた。元WBO世界ミニマム級王者で、IBF世界ライトフライ級7位の谷口将隆(30)=ワタナベ=が、IBF世界同級4位、東洋太平洋同級王者のタノンサック・シムシー(24)=タイ=に1-2の12回判定負け。谷口は勝負の一戦を落とし、タノンサックがIBF2位の座をつかんで東洋太平洋王座2度目の防衛に成功した。 2回までは谷口ペースで試合が進んだが、3回からタノンサックが攻勢を強めてペースを握った。7回に谷口が左ボディーストレートをヒットし、ペースを引き戻すと、ボディー攻撃を中心に最後まで攻めたが、112-116、115-113、113-115で惜敗した。谷口は落胆した表情を見せ、WBO3位、WBC4位でもあるタノンサックは涙ぐんで喜んだ。 谷口は「タノンサック選手は思ったよりうまさがありました。そこで上回れなかった自分の弱さが敗因。距離が遠かったですし、近い距離はうまかったですね。近くなっても対応できるようには意識していたんですけど、そこの甘さはありました。ボディーの感触はあったんですけど、そこで追えなかった。(タノンサックの)リターンが速かった」と冷静に試合を振り返った。 昨年1月にエディオンアリーナ大阪での2度目の防衛戦で、メルビン・ジェルサエム(フィリピン)に2回TKO負け。WBO世界ミニマム級王座から陥落した。ライトフライ級に階級を上げ、昨年8月の再起戦では堀川謙一(三迫)に2-0で10回判定勝ちしたものの、5回に当時43歳の堀川の左アッパーで顎を骨折させられるなど大苦戦。今年5月と10月に外国選手にKO勝ちした。 この試合は当初は東洋太平洋タイトルマッチのみだったが、IBF2位決定戦も承認された。谷口をプロモートする元WBO世界スーパーフェザー級王者で、トレジャー・ボクシング(TB)プロモーションの伊藤雅雪代表(33)が「勝ったら必ず、絶対世界戦」と明言していた勝負の一戦だったが、世界王座を失った大阪の地で、世界2階級制覇達成への挑戦権をつかむことはできなかった。 谷口は「もうやりきったなとは自分の中では思いますね。気持ちはすっきりしていますね。ただ、陣営がこの後を思い描いてくれていたので、それに応えられなかったのが心残りです。1回夢がかなった人間として、2階級目の今度は周りの人たちのため、応援してくれている人たちのためと思ってもう一度世界を取りたかったんですけど、負けてすぐにもう一度チャンスをもらえるような甘い世界ではないんで。自分の中の考えはある程度は出ています」と現役引退を匂わせた。