「軽くて単純」なクルマが欲しい? あえてハイブリッド・レス ヒョンデi20 1.0Tへ試乗
軽くて単純で、お手頃なクルマが欲しい
欧州市場では特に、新モデルの情報といえばバッテリーEVやクロスオーバーばかり。自動車産業は、その方向へ追い込まれている。しかし、もっと軽くて単純で、お手頃なクルマが欲しいと考えているユーザーは少なくない。 【写真】軽くて単純なクルマが欲しい? ヒョンデi20 1.0T 欧州の競合ハッチバックと比較 (126枚) 環境負荷の小さいコンパクトカーなら、シンプルな内燃エンジンモデルが、まだ成立できる。2万ポンド(約372万円)を超える英国価格は、お手頃とはいえないけれど。 フェイスリフトを受けたヒョンデi20のお値段は、エントリーグレードのアドバンスで2万770(約386万円)から。トップグレードのアルティメットでは、2万6720ポンド(約497万円)に達する。 見た目では、前後バンパーの造形が新しくなり、16インチと17インチのアルミホイールにも新デザインが追加された。ボディ塗装とインテリアには新色が追加され、しっかりリフレッシュされたといえる。 ヒョンデ・コナやアイオニック5ほど大胆なスタイリングではないものの、i20の街角での存在感は小さくない。まとまりも良いと思う。 ただし、今回のフェイスリフトで特筆すべき点が、パワートレインの変更。エンジンからマイルド・ハイブリッド・システムが省かれたのだ。2024年の英国で選べるのは、電動化技術の載らない、ベーシックな100psの1.0L 3気筒ターボガソリンのみとなった。
聴き応えあるサウンド 軽快に動くシフトレバー
韓国ではマイルド・ハイブリッド版が継続しているようだが、英国への輸出は終了したらしい。ヒョンデへ確認したが、理由の明確な説明はなかった。ライバルより高めの価格を、抑える意図があるのだろう。ホットハッチのi20 Nが再導入されるのかも不明だ。 トランスミッションは、6速マニュアルと7速デュアルクラッチ・オートマティックが選べる。今回の試乗車には、MTが載っていた。 筆者は久しぶりにi20へ試乗したが、記憶の限り、従来のマイルド・ハイブリッド版と目立った印象の違いはないようだ。1.0L 3気筒ターボは、若干ノイズが大きめ。低回転域でのトルクが細く、ターボラグがあり、パワー感は少しもの足りない。 マイルド・ハイブリッドのi20では、電圧48Vのスターター・ジェネレーターが、それを補っていたはず。ところが、同じような印象を持ったことを覚えている。効果は薄かったのかもしれない。 とはいえ、回転数を高めれば、聴き応えのあるエンジンサウンドが放たれる。6速MTのシフトレバーは軽快に動き、コクリとゲートへ収まる。そんな気持ち良さも、これまでと変わらない。 燃費も、マイルド・ハイブリッド版と比べて若干低いだけ。今回の試乗では、15.9km/L が平均値となった。 サスペンションは少々硬めだが、敏捷なコーナリングを披露するわけではない。ステアリングの反応は正確で、挙動を予想しやすいものの、手のひらには期待するほどフィードバックが伝わってこない。