【感染症ニュース】新型コロナ全国の感染者数が12週ぶりに増加 新たな変異株の登場で、再び流行拡大の懸念も… 医師「冬季の流行はXEC株が中心の可能性」
厚生労働省が令和6年11月22日に発表した令和6年第46週(11/11-17)の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について」によると、全国の定点当たり報告数は1.90。8月下旬から減少が続いていましたが、12週ぶりの増加となりました。まだ大きな流行にはなっていませんが、都道府県別では東北地方や北海道など北日本で患者報告数が多くなっています。 【2024年】11月に注意してほしい感染症!インフルエンザの動向に要注視マイコプラズマ肺炎は過去最多を更新医師「関東は伝染性紅斑に注意」 ◆新型コロナウイルス感染症とは? 新型コロナウイルスは感染者の口や鼻から、咳・くしゃみ・会話のときに排出されるウイルスを含む飛沫、またはエアロゾルと呼ばれるさらに小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内に近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分で混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。感染すると2〜7日の潜伏期間のあと、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、咳といった上気道症状に加え、倦怠感・発熱・筋肉痛・頭痛といった全身症状が生じることが多く、その症状はインフルエンザとよく似ています。オミクロン株が主流となった現在は、嗅覚・味覚障害の症状は減少しています。軽症の場合は1週間以内に症状が軽快することが多い一方、発症から3か月を経過した時点で何らかの症状が2か月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかない場合には、罹患後症状(後遺症)の可能性を考える必要があります。 ◆気になる新たな変異株の拡大 最近、気になるニュースが。国立感染症研究所感染症疫学センターの「新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報(2024年10月)」によると、今年38〜41週(9月中旬〜10月上旬)に民間検査機関の検体から検出されたウイルスはKP.3系統が約7割を占めていましたが、XECという新たな変異株が約5%検出されました。 さらに、11月22日に発表された「東京都新型コロナウイルス感染症情報」によると、第46週の東京都におけるゲノム解析によると、30%がXEC株という結果が出ました。 ◆感染症に詳しい医師は… 感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「新型コロナウイルス感染症は例年冬に流行しているので、今シーズンもおそらくこれから流行するのではないかと予測しています。その中で、新たな変異株が出てきたということで、このXEC株が流行の中心となって、ある程度の規模の大きな流行になる可能性もあると思います。XEC株はこれまで流行してきたJN.1株からの派生株ではありますが、免疫逃避力と伝播力に優れていると言われており、以前新型コロナに感染した方でも、再度感染発症する可能性があります。一方、現在接種されているワクチンはオミクロン株に対応したものなので、効果は期待できると思います」と語っています。 ◆《経験談》新型コロナウイルス感染症 31歳 宮城県 新型コロナウイルス感染症は症状が重く、後遺症に悩まされる場合もあります。宮城県の31歳の方から経験談が寄せられました。 「8-13〜8/15家族で旅行。車移動で6時間半運転して15日朝方帰宅。夜10時から発熱37.7度。倦怠感で眠れず4時頃まだ37.7度。翌16日朝方38.2度。10時38.9度。12時39.3度でカロナール服用。13時過ぎ38.2度。14時38.5度。15時38.6度。16時38.7度。17時39.2度。18時39.4度。19時39.8度。カロナール飲んで布団に入るも朝まで眠れず。翌17日6時38.9度。8時39.1度。職場に連絡するも出勤。14時、昼休憩、カロナール服用。15時職場忙しさのピーク越えて早退させてもらった。38.1度。受診してコロナ陽性。17時38.3度。20時39.2度。カロナール服用。翌18日8時39.1度。カロナール服用。13時にやっと37.8度。と思ったら17時38.0度。21時38.4度。その後は流石に寝込むのも気が引けて体温測るのをやめた。40度は超えなかったけど長かった。仕事している時熱が下がることが多いけど、コロナは2回とも(今回2回目)発熱したままでした。味覚障害、のどの痛み、咳がその後2週間くらい。職場にも出たし家族とも過ごしていたけれど、周囲には感染させなかったらしい。自分はいいけど、同僚、顧客、家族には感染させたくない症状でした」 ◆安井医師 「最近は味覚障害になる方は減りましたが、臨床の現場で見ていると、女性や若い方に味覚障害が起こることが多いと感じています。この方はお忙しかったようで、発熱がありながら仕事に出かけていらっしゃいます。しかし、発熱がある場合は何らかの感染症である場合があります。結果、周囲には感染させなかったと書かれていますが、できれば会社や学校などは休み、他の方にうつさないという行動をとっていただければよかったと思います。特に高齢者や基礎疾患がある方が感染・発症すると重症化するおそれもあります。また、職場の方と同居されている高齢者にも、感染させてしまう可能性もあります。感染が疑われる場合は、周囲にうつさないような行動をお願いします」 ◆冬場は部屋の換気を忘れずに! 新型コロナウイルス感染症とともに、インフルエンザも流行拡大の兆しがあります。予防の一つとして、部屋の換気があります。寒くなりましたが、定期的に部屋の空気を入れ替えるよう心がけましょう。 引用 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況について令和6年第46週(11/11-17) 国立感染症研究所感染症疫学センター:新型コロナウイルス感染症サーベイランス月報(2024年10月) 東京都保健医療局感染症対策部:東京都新型コロナウイルス感染症情報(2024年11月22日発行) 取材 大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏