戦地向かうウクライナ兵が「結婚」決断のわけ…挙式を支援するプロジェクトも
ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナで、戦地に向かう兵士たちのなかには、あえて「結婚」を決断する人もいる。行政もこれまで時間がかかっていた結婚の手続きを迅速化し、後押ししている。さらに、経済的な理由から結婚式をあげられないカップルに対し、挙式をサポートする支援の輪も生まれている。 (国際部・坂井英人) 【画像】抹茶カフェ…ウクライナでは“魚味?” 日本の抹茶アイス「こんなに美味しいの…」 ニュースだけでは分からない“リアル”③
■出会いのきっかけは軍事侵攻…兵士と国語教師の新婚夫婦
軍事侵攻の開始から2年となる今年2月、私たちは首都キーウで、去年8月に結婚したばかりの新婚夫婦のオレクサンドルさんとマリヤさんに出会った。オレクサンドルさんは国境警備隊に所属する現役の軍人で、マリヤさんは学校で国語(ウクライナ語)教師をしている。この日はオレクサンドルさんの休暇を利用し、2人でキーウを訪れていた。2人の出会いのきっかけは、皮肉にもロシアによる軍事侵攻だった。 侵攻開始後の2022年4月、北部・ジトーミル州の村にオレクサンドルさんの部隊が配置され、そこに暮らすマリヤさんが料理を差し入れたという。当時のお互いの印象について聞いてみると──。 オレクサンドルさん「初めて会話したのに、ずっと前から知っているような感覚で、感銘を受けました。とても話しやすくて、まるで自分と話しているようだったのです」 マリヤさん「彼の笑顔を覚えています。部隊が拠点を置いていた建物で、初めて顔を見たのです。まだ彼が誰かも知らなかったけれど、その笑顔を見て感動したんです。とても素朴で、カリスマ的でした」
■「戦地で命をかけるため」結婚を決意した理由
その後、交際を始めた二人。去年、任務中の事故で一時的に部隊を離れたオレクサンドルさんは、プロポーズを決意した。 オレクサンドルさん「(けがによる休養中に)彼女が他の誰かに奪われないように、何かしなければと思いました。特に、私は(激戦地の)東部へ3か月行くことになっていました。とても長い期間です。彼女には、私が必ず戻ってくること、そして彼女が必要だということを知っておいてほしかったのです」 慌ただしく準備を進め、去年8月に結婚。戦地で命をかけるためにも、必要な決断だったという。