戦地向かうウクライナ兵が「結婚」決断のわけ…挙式を支援するプロジェクトも
オレクサンドルさん「東部に行くという事実を受け入れるのは精神的にとても難しいことです。しかしそこに行く理由、そして自分の帰りを待ち、支えてくれる人がいることを分かっていれば、ずっと楽になります」 マリヤさん「(オレクサンドルとの出会いは)この荒々しく、邪悪な出来事のなかで、一筋の光のようでした。彼が現れて、また『生きたい』と思ったのです。戦争は戦争ですが、未来のことを考え、ポジティブなことを見つけなければなりません。この愛こそが私たちを前に進ませるものなのです」 それでも、マリヤさんは夫を戦地に送り出すときには不安を抑えられないと話す。 マリヤさん「帰ってこられるかどうかも分からないのですから、彼を送り出すのはとても辛いです。彼が(戦地に)行かなくてすむのなら、私は何でもします」
■軍事侵攻で「結婚増加」制度変更も後押し
ロシアによる軍事侵攻が始まった2022年、ウクライナでは22万2890件の結婚の届け出があった。これは前の年から4.1%の増加で、先の見えない戦時下だからこそ、結婚の決断を急ぐカップルが多かったことが背景にあると考えられている。 また、結婚届け出の制度変更もこうした動きを後押しし、特に戦地に向かう兵士の結婚は迅速に行われるようになった。ウクライナ政府によると、以前は結婚の届け出希望を役所に出して実際に認められるまで、およそ1か月待たなければならなかったが、今は即日手続きが完了する。さらに、軍人は特別にオンラインで結婚の届け出ができ、必要であれば直属の上官が婚姻証明を作成し、結婚させることもできるようになったとしている。
■「英雄に結婚式を」兵士の挙式を支援
ただ、なかには金銭的な理由からきちんとした結婚式をあげられないカップルもいる。ウエディングプランナーのスベトラーナ・オリフェルさんは、「英雄に結婚式を」というプロジェクトの主催者で、こうした兵士たちの挙式を支援している。結婚式を希望するカップルの要望に応じてSNSを通じて協力者を募り、写真撮影、ケーキ、メークなど挙式に必要な多くのものを無料で提供するほか、会場代などの価格交渉をするなどして、カップルの負担が極力少なくなるよう支援する。